仕事の経験を家事や育児に生かし、家事や育児の経験を仕事に生かす。二兎(にと)を追って、二兎を得る好循環サイクルを生み出す秘訣を、各界で活躍する仕事のプロフェッショナルたちに聞く連載。第5回目にご登場いただくのは、元陸上選手であり、アトランタオリンピックにも出場した千葉真子さん。現在は、陸上指導者やスポーツコメンテーターとして活躍中の千葉さんは、小学校新2年生と年長の二人の娘さんのママでもあります。アスリートママならではの子育てとは? 前編と後編に分けてお伝えします。

<アスリートママ 千葉真子さんインタビュー>
【前編】千葉真子 子に運動を無理強いしてはいけない理由
【後編】千葉真子 小出監督の指導が子育ての指針にも ←今回はココ

運動能力が低いように見える子でも、得意な分野が必ずある

DUAL編集部(以下、――) 「小学校までは、身体を動かすこと自体を好きになることが大切だから、お子さんにも運動を無理強いしない」というお話を、前回伺いました。ただ、「自分の子どもの運動能力は低いから伸ばしてあげたい」と切実な気持ちを抱いている方もいるかもしれません。その場合、親はどうしたらいいのでしょうか。

千葉真子さん(以下、敬称略) ぜひ意識しておいていただきたいのが、「この子は運動が全般的にダメ」というのが、親の思い込みの可能性もあるということです。例えば、ハンマー投げの室伏広治選手は、マラソン大会では子どものころからビリだったとインタビューなどで話しています。ハンマー投げは瞬発系、マラソンは持久力がものをいうスポーツ。必要とされる能力が全く違います。私自身も、前回の記事でお話したように、中学時代に打ち込んだテニスでは、全然結果が出せませんでした。

 運動能力が低いように見える子でも、何か得意な分野があると思うんです。子どもが小さいうちは、いろんなスポーツに触れる機会がないため、ちょっと走るのが遅いだけで「運動ができない」と思ってしまうかもしれませんが、そうやって早く結論を出してしまうのは、もったいない。その子に合う運動が必ず見つかるはずです。

―― とすると、子どもに「自分は運動ができない」と思わせないように、親は上手に働きかける必要がありそうですね。

千葉 「あなたは走るのが遅いんだから!」などとできないところを強調してダメ出ししてしまうと、子ども自身が苦手と思い込んでしまいます。親にできるのは、子どもの得意・不得意を見極めたうえで、関わり方を見直すことです。

―― 例えば?