今、ビジネスパーソンが知っておきたいキーワードの1つが「アンコンシャスバイアス」という言葉。直訳すると「無意識の偏見」という意味で、最近、企業研修などで盛んに使われるようになった言葉です。

3回目は、育児にまつわる「思い込み」を払拭し、新たな可能性を開いたママへのインタビュー前編。2019年3月から国内販売が始まった乳児用の液体ミルク。その立役者の一人が、「乳児用液体ミルクプロジェクト」の発起人、末永恵理さんです。「ミルクは粉が当たり前」「国や大企業は変えられない」――。誰もが抱きがちな「無意識の思い込み」をどう飛び越え、どんなふうに行動してきたのでしょうか。

ペットボトル入りのミルクはない?

日経DUAL編集部(以下、――) 海外ではごく普通に手に入るのに、日本では法律の壁に阻まれ、製造や販売がされてこなかった液体ミルク。その存在すら知らなかったというママも少なくありません。末永さん自身、液体ミルクを知ったのは、第1子の出産がきっかけだったそうですね。

末永恵理さん(以下敬称略) 2014年に第1子を妊娠し、出産準備を進める中で、「どうやらミルクの調乳作業が大変らしい」ということが分かり、調乳をラクにするアイテムがないかと探していたんですね。夫にも育児に協力してほしかったので、ペットボトル入りのミルクがあればいいなと思い、調べたところ、海外には液体ミルクというものがあると知りました

 ところが日本では、液体ミルクに関する食品衛生法の基準がないため、製造や販売ができず、液体ミルクを手に入れることができないと分かりました。

「乳児用液体ミルクプロジェクト」の発起人、末永恵理さん
「乳児用液体ミルクプロジェクト」の発起人、末永恵理さん

―― 「ペットボトル入りのミルクを探す」という発想も斬新ですが、もともとは、調乳の負担減と夫の育児協力を促したい、という思いがきっかけだったのですね。

末永 それまで育児に関する知識がほぼゼロだったので、実は、「ミルクといえば粉」という認識すらも薄かったんです。結局、法律が絡んでいるなら仕方ないのかなと、いったんは諦めました。産後は粉ミルクで調乳していたのですが、夜中に眠い目をこすりながらミルクを作るのは、想像以上に大変でした。

 半年くらいたって少し落ち着いてきた頃に、「やっぱり液体ミルクがあれば便利だったな」と思い出し、もう一度きちんと調べ直してみたんです。そしたら、日本では液体ミルクに関する法律上の基準がないからメーカー側も作れないし、たとえ輸入したとしても、「赤ちゃん用」として販売できず、単なる乳製品になってしまうなど、さまざまな問題があると分かりました。そこで、厚生労働省に電話して聞いてみることにしたんです。

―― えっ、いきなり厚労省ですか!? 

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  • 担当者が分からず、代表番号に電話
  • 企業を動かすにはデータが必要
  • 1カ月で1万もの署名が集まる
  • ベビーカーを押してメーカーを訪問
  • 「ダメ」「できない」とは言われなかった
  • 「教えてもらう」姿勢で粘り強く活動

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