社会に、そして私たち一人ひとりの価値観の中に潜むアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)。その一つが、「女の子はスカート、男の子はズボン」というもの。学校の制服も、多くが女子用(スカート)・男子用(ズボン)と決められています。全国から生徒を募集する「島留学」制度のある島根県立隠岐島前高校で、そんな「当たり前」のルールを変えるため生徒が立ち上がりました。一連の経緯、そして制服規程変更を通して見えてきたものについて、隠岐島前高校・学校経営補佐官の大野佳祐さんに聞きました。

性別関係なく、みんなが自分らしくいられる制服に

 発端は、昨年の高校2年生が取り組んだ「夢探究」の授業だったと、大野さんは振り返ります。夢探究は隠岐島前高校が実践する授業の一つで、生徒が地域の課題解決に取り組むプロジェクト型の授業です。数人ずつがチームになり課題を見いだすことから始めるのですが、なかなか課題が決まらなかったあるチームでこんな議論になりました。

全国から生徒を募集する「島留学」制度のある島根県立隠岐島前高校
全国から生徒を募集する「島留学」制度のある島根県立隠岐島前高校

 「地域の課題も大事だけど、自分たちの身のまわりにもいろいろ課題があるよね……という話が出て。同じ学年に、身体的な性別(女性)と本人が自覚している心の性別(男性)が異なる、LGBTの生徒のAさんがいるのですが、『Aさんが自分らしさを表現できる環境、快適に過ごせる環境をつくりたい』と、ある男子生徒が言い出したのです。そして、そのチームでは、Aさんが男子生徒用の学ランを来て卒業式に出られるよう、制服問題を課題にすることになりました」(大野さん)

 Aさんは女子生徒用の制服を着ることに耐えられず、それまでは学校に届けを出して許可を得たうえでジャージーを着て登校していました。その経緯から、当初は「制服を廃止すること」をテーマに掲げ、チームは動き出しました。

 ところが、生徒にアンケートをとったところ制服賛成派も一定数いたため、制服廃止案は断念。制服でも私服でも可とする、などの別案も検討しましたが、どれも実現しないまま、授業での取り組みは終了しました。私服に抵抗を感じる生徒がいたことや、もし新たな制服を導入するとなれば予算もかかるなど、道のりは想像よりも複雑だったのです。

 「しかし、最初に言い出した男子生徒は諦めきれない様子でした。プロジェクトに取り組むなかでAさんの苦しみやこの校則の理不尽さを感じたようで、授業の終了後も続けていこうということになったんです。授業から携わってきた僕も生徒たちのチームに加わり、放課後や休み時間を使って話し合いを重ねました。また教員側でも、制服を管轄する生徒部長を中心に議論しました」

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  • 生徒に気づかされた、自らに潜むアンコンシャス・バイアス
  • 大事なのは、多様性の中で折り合いをつけながら工夫すること

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