今、ビジネスパーソンが知っておきたいキーワードの1つが「アンコンシャスバイアス」という言葉。直訳すると「無意識の偏見」という意味で、最近、企業研修などで盛んに使われるようになった言葉です。子育て中は仕事をセーブすべき、などの「無意識の偏見」を取り払うことで、自分の本当の思いに気づけたり、多様な人材が実力を発揮したりできるようになるといいます。

2回目の今回は、組織の中でバイアスにとらわれず、個人の可能性を最大に生かす方法について、社会人やスポーツ選手のメンタルトレーニングを手掛ける心理学の専門家・筒井香さんに聞きました。

「子育て中のママ」というだけでひとくくりに

日経DUAL編集部(以下、――) 前回は、子育てに潜むアンコンシャスバイアスについて聞きました。この言葉は今、ビジネスの現場でも注目されており、アンコンシャスバイアスをテーマに社員研修を行う企業も増えています。注目されている理由は何でしょうか?

筒井香さん(以下敬称略) これまで日本の多くの企業では、「フルタイムで働ける男性社員」が多数を占めてきました。職場が同じような人で構成されていたため、偏見が生まれにくく、それによる弊害も表れにくかったと考えられます。

 ところが今は、女性社員、子育てしながら働くママやパパ、外国人、LGBT、障害を持つ人など多様な人材から成る職場環境へと変化しています。少数派の人たちが現れることで、「無意識の偏見がある」という課題が露呈してきました。さらに、その偏見にとらわれてしまうことで、一人ひとりが持つ可能性を発揮できず、ダイバーシティの妨げになる、といった課題が浮かび上がってきた。これが背景にあるのではないでしょうか。

―― 職場に潜むアンコンシャスバイアスには、どういったものがありますか?

筒井 「男性だから」「女性だから」といった性別によるバイアスは、根強いのではないでしょうか。今、女性活躍推進の取り組みが盛んに進んでいますが、そもそも「男性活躍」とは言いませんよね。それなのに、女性だけこうした名称がつく時点で、すでにバイアスがあるということですし、組織の中でそれだけ女性が少数派だということを表していると感じます。

 ほかにも、世代や出身大学、出身地などの属性によって、ひとくくりにして見てしまうのもバイアスの1つです。例えば「子育て中の働くママ」というのもそうですね。DUAL世代の女性の中にも、ワーママというだけで同じような考えを持っていると捉えられ、モヤモヤしたという経験を持つ人もいるのではないでしょうか。

―― 確かに、「働くママ」といっても、できる働き方やキャリアに対する考えは人それぞれ。それなのに、個人としてではなく、集団として見られてしまう傾向はあるかもしれません。

ワーママでもキャリアへの向き合い方は人それぞれ。画像はイメージです
ワーママでもキャリアへの向き合い方は人それぞれ。画像はイメージです

次ページから読める内容

  • 「ゆとり世代は~」もバイアスの1つ
  • 相手を知るほど、偏見は薄まっていく
  • 「○○さんの場合はどうだろう?」と考える
  • 違いではなく、共通点を見つけることで距離が縮まる

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