東京海上ホールディングスのアンコンシャス・バイアス研修をルポした上編に続いて、下編は実際に研修を受けた課長のインタビューをお届けします。東京海上日動火災保険 本店営業第二部 営業第二課長の櫻井淳さんは、3年前に同研修を受講。アンコンシャス・バイアスへの気づきを、子育て世代のマネジメントにどう生かしているのでしょうか。

機会を均等に与えることこそ大事

―― 櫻井さんは、2017年にアンコンシャス・バイアスの研修に参加したそうですね。それまで、アンコンシャス・バイアスという言葉や概念自体は知っていましたか?

櫻井 当時はアンコンシャス・バイアスについて「無意識のうちに持ってしまう偏見」くらいのイメージしかなく、自分自身にどう関係があるかなどはよく分かっていませんでした。私が参加した回は、課長クラスとその部下がペアで参加しました。まず基調講演で社外から招いた講師の方が話をし、その後、当社の部長職と人事部のメンバーがパネルディスカッションを行い、最後に参加者同士でグループディスカッションをしました。

3年前にアンコンシャス・バイアス研修を受講した櫻井淳さん
3年前にアンコンシャス・バイアス研修を受講した櫻井淳さん

 特に印象に残っているのが、パネルディスカッションでのある女性部長の体験談です。ある時、担当していた案件で海外出張の話が出て、本人は当然自分が行くものだろうと思っていたら、当時の上司が男性社員をアサインしようとしていたと。「子育て中でも挑戦したい思いがあったにもかかわらず、状況を聞いてもらえなかった」という話にハッとしました。私自身、これまで子育て中のママ社員に泊まりの出張案件が出た時に躊躇(ちゅうちょ)してしまうことがありましたが、これこそがアンコンシャス・バイアスだと気づきました。

―― そうした気づきを、現場でどのように生かしていますか?

櫻井 現在、社員16人、派遣スタッフ3人の計19人でチームを組んでいるのですが、そのうち子育て中のママが4人、パパ社員が私を含めて2人います。子育て中のママ社員に宿泊を伴う出張をお願いする場合、「難しいのでは?」と臆測で決めつけず、まずは本人と話をして、状況を聞いた上で決めていく。当社の課長職には「期待して」「鍛えて」「活躍する機会と場を与える」という3つのKを実行することが求められていますが、まさに機会を正当に与えることこそが大事だと実感しました。

―― まずは本人と話をする、というスタンスに変わったのですね。一般的に、小さい子を育てるワーママは、チャレンジそのものを控えているのではないか、出張などしたくないのでは? と思われがちです。

櫻井 私自身、研修を受ける前までは、そうした考えが頭をよぎったこともありました。でも、キャリアにプラスになるという考えから、家族と相談して調整した上でチャレンジしたいという方も少なくありません。「子育て中だから無理だろう」と過剰な配慮をしすぎること自体がアンコンシャス・バイアスだと気づいてからは、私の中の限られた経験で、「きっとこうに違いない」と考えることをやめました

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  • 置かれている環境や考え方は一人ひとり違う
  • 課長クラスが納得していないと態度に出てしまう

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