人生100年時代といわれる今、「一生働くためのスキル」を身に付け、DUAL世代が子育ても仕事も充実させるにはどうすればいいでしょうか。この連載では、資格取得、転職、独立など、子育てをしながらも一歩踏み出した人へインタビューを行っています。

5回目はラグビー元日本代表キャプテンの廣瀬俊朗さんの後編。30代でのMBA取得や起業の話を伺った前回に続いて、今回は組織のキャプテンとして培ったマネジメント哲学、自身の子育てなどについて伺います。

結果を出す上で意識すべきは「大義」

日経DUAL編集部(以下――) 廣瀬さんは、所属したチームすべてでキャプテンを務めてきました。読者の中にも子育てしながら管理職に就く人が増えていますが、チームをまとめて結果を出す上で、大切にしてきたことは何でしょうか。

廣瀬俊朗さん(以下、敬称略) 「大義」をチーム全体で共有することです。勝つチームには大義があります。僕が2013年までキャプテンを務めたW杯イングランド大会の日本代表は、「何のために勝つのか」という問いに対して、「憧れの存在になる」という大義を共有していました。その結果、日本代表は南アフリカ戦の勝利をはじめ素晴らしい結果を残すことができた。たくさんのファンに喜んでいただけたし、日本代表がみんなの憧れの存在になれたのではないでしょうか。

 大切なのは、「勝つために」プレーするのではなく、勝つことを通じてファンにとっての「憧れの存在になる」ことでした。勝ち負けは自分たちではコントロールできないけれども、僕らは努力次第で「憧れの存在」にはなれる。そう信じて全員で取り組んできたことが実を結んだのです。

 これはラグビーチームに限らず、あらゆる組織に共通するのではないでしょうか。