「自分で決めたこと」だから継続でき、伸びる

―― 廣瀬さんにも8歳と6歳のお子さんがいらっしゃいますが、ご自身はどんなお父さんなのでしょうか?

廣瀬 「自分のことは自分で考えて決めて」と言っています。これからの時代はそれができないとダメだと思う。何事をなすにしても継続することが欠かせませんが、何かを継続するためには、本当にやりたいかどうか、もしくは、自分で決断したかどうか、どちらかが必要なんです。

 自分のことを振り返っても、僕は何かをやって1日でぐんと伸びた、ということがないんです。ただ、諦めずに続けることが得意で、ひたすら毎日やり続けた結果、いつの間にか少しずつ伸びていた。なぜ続けられたかというと、そこにはやっぱりさっきも言った「大義」みたいなものがあったからなんです。「自分はこうなりたい」という思いが大切だと思います。

 僕は基本的には見守るタイプの親です。「どうしたいの?」と聞いて自主性を重んじる。上の娘はピアノとスイミングをやっています。スイミングは結構上手みたいで、本格的にやるかどうか今悩んでいますね。さて、どうするのかな。

 下は男の子ですが、ラグビーに関しては実はやらせたくないなあ。どうしたって僕と比較されるし、かわいそうだから。やるなら自分で「やる」と決断してほしいです。それなら「自分で決めたんやから頑張りや」って言えますから。

―― 子どもに何かを継続させることに悩んでいるDUAL読者は少なくありませんが、やはり大切なのは、「大義」「目的」でしょうか。

廣瀬 もちろん、目的をしっかり意識することは欠かせません。後は、親が誰かと比較しないこと。「◯◯ちゃんは~ができるのに」と言われたら、誰だってやる気を失います。大人も同じ。もし職場で上司から「隣の席の○○さんはこんなに仕事ができるのに、あなたはできない」と言われたら、仕事辞めたくなるでしょう(笑)。それよりも、子ども自身の成長と比較すべきだと思います。前はできなかったけど、今日はこれができるようになったやん、と認めてあげてほしいです。

今までなかったスタイルの人間を目指す

―― 最後に、廣瀬さんのこれからのキャリアの軸と、「大義」について教えてください。

廣瀬 1つの軸はスポーツです。この素晴らしさを次世代につなげていきたいですね。2つ目が子どもたちや若者への教育。3つ目がリーダーシップの普及です。リーダーとしてのノウハウやメソッドを事業化して広げていく。経験者から学べる仕組みをつくっていく。そして4つ目が、日本古来のもので今眠っているものやシュリンクしているものにスポットを当て、価値を見直してもう一度リブランディングしていくこと。この4つを軸に活動していきたいと思っています。

 1人の人間としては、今までなかったようなスタイルの人を目指したいです。ラグビー日本代表のキャプテンだった人は何人もいる。でも、それでビジネスで成功してほかにもいろいろ手掛けている人はまだあまりいませんよね。スポーツをやっていた人で、社会的にも価値のある人が出てくれば、それを超える人が次々に出てくるはず。そんな人がこれからの時代に増えていけばうれしいですね。

構成/平林理恵 写真/小野さやか



廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)
HiRAKU代表
廣瀬俊朗(ひろせ・としあき) 1981年大阪府生まれ。5歳でラグビーを始め、99年度U19代表、高校日本代表に選出。慶応大学を経て2004年に東芝入社、07年主将就任。07年に日本代表選出、12年キャプテン就任。15年ラグビーW杯での3勝に貢献する。16年に引退、19年2月に東芝を退社、9月にビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院にてMBA取得。ドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系列)に出演。W杯日本大会では、出場国の国歌を歌って歓迎する「スクラムユニゾン」を提唱した。