人生100年時代といわれる今、「一生働くためのスキル」を身に付け、DUAL世代が子育ても仕事も充実させるにはどうすればいいでしょうか。この連載では、資格取得、転職、独立など、子育てをしながらも一歩踏み出した人へインタビューを行っています。

4回目は特別編として、ラグビー元日本代表キャプテンの廣瀬俊朗さんが登場。34歳で現役を引退後、2019年2月には15年勤めた東芝を辞め、起業家としての道を歩み始めました。19年9月にはビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院を修了しMBAを取得。2児のパパでもある廣瀬さんに、学びや挑戦、子育てなどついて、前後編に分けて伺います。

30代で訪れた人生のトランジション

日経DUAL編集部(以下――) 廣瀬さんは5歳でラグビーを始め、大阪・北野高校、慶応大学、東芝、さらに日本代表でもキャプテンを務め、34歳で引退を決意しました。30代からのキャリアについては、いつごろからどのように考えていたのでしょうか。

廣瀬俊朗さん(以下、敬称略) 29歳で東芝のキャプテンを退き、選手としての終わりがリアルに感じられるようになり、それまで全く考えなかった引退について考えざるを得なくなりました。ところがその後、2012年に日本代表のキャプテンに指名していただいたこともあり、2015年のラグビーW杯イングランド大会終了までは、日本代表のために自分のすべてを尽くすことにしたんです。

ラグビーW杯日本大会では解説者としても活躍した廣瀬俊朗さん
ラグビーW杯日本大会では解説者としても活躍した廣瀬俊朗さん

 本来なら、もう少し早くから次の人生へのトランジションをやっておくべきだったと思いますよ。でも、忙しくてこれがなかなかできなかった。

 現役を引退したのは2016年の3月です。自分で決めたことですが、やっぱり、選手をやめるって怖いんですよ。今まで自分を培ってきてくれたもの、自分を評価してくれたものがなくなるわけですから。それに、この時点では、その後についてまだ何も決まっていなくて、いろいろな方に相談しながら、自分にしかできない道が必ずあるはずだ、と模索しているところでした。

 指導者に挑戦したい思いもあったし、海外に出てみたいとも思った。ビジネスの勉強をしっかりしてビジネスマンとして成功できるような人生を過ごせたら最高やなとも思っていました。

―― そんな気持ちが、MBAへの挑戦につながったのですね。