「育児中だから」と自らをセーブすることなく、キャリアを磨くために新たな挑戦をするママ・パパが増えています。人生100年時代といわれる今、「一生働くためのスキル」を磨き、幸せなお仕事人生を送るにはどうしたらいいのでしょうか。この連載では、資格取得、転職、独立など、子育てをしながらも一歩踏み出した人へインタビュー。2回目はスタートアップ企業に転職したママが登場。安定したポジションを捨ててまで追い求めるもの、子どもが小さくても挑戦を決意した背景などを聞きました。

森本愛さん
ピースオブケイク PR

新卒でエン・ジャパンに入社し、営業を経て広報へ。2012年に第1子の育休を取得し、2013年に復帰。2018年に第2子の育休を取得。育休中、学生時代の後輩に声をかけられたことをきっかけに、2019年、noteなどを手掛けるピースオブケイクに転職。広報・PRを務める。

森本さんの「キャリア自立」のポイント
○ 安定したポジションを捨ててスタートアップへ
○ 子育てしながら働く自分を肯定
○ 生涯で磨いていきたい「2つのスキル」を見つけた

居心地が良過ぎて、逆にモヤモヤ

日経DUAL編集部(以下、――) 森本さんは、2人のお子さんを育てながら、スタートアップへ転職しました。その前まで、転職を考えたことはありましたか?

森本愛さん(以下敬称略) 一度もありません。ただ、常に「自分から変えていく姿勢」が大事だと思っていました。前職の人材会社では、入社8年目で、社内公募制を利用して営業から広報へ異動しましたが、それも自分を変えたいという思いからでした。当時、営業としては大きな仕事を任されるようになっていましたが、新たな挑戦をしてみたかった。で、異動したら後悔したんです。「どうしてもっと早く異動しなかったんだろう」って。同じ社内ですが、部署が変われば求められる能力が変わり、出会う人もガラッと変わりました。新しい学びが必要となり、ビジネス書籍などをがむしゃらに読むようになりました。

 異動を経験するまで、キャリアを変えるために自分から動くことを一切してこなかったけれど、チャンスをつかむためには自分から動くことが必要だと痛感しました。転職にも、過去のこの経験が生きているような気がします。

―― どんな経緯で転職という選択をしたのですか?

森本 前職の会社には新卒で入社してから13年間勤めました。不満があったわけではありません。広報としてやってきた仕事は評価をしてもらえていたし、子育て中のため時短勤務でしたが、大きな裁量が与えられ、期待してもらっている感覚もあって、幸福度はかなり高かったんです。

 その一方で社歴が長くなるにつれ、居心地が良過ぎるこの環境に「このままでいいのかな?」というモヤモヤとした気持ちを漠然と持つようにもなっていました。自分のことを誰も知らない環境に身を置いて、自分の力をどこまで出せるのか試してみたかった。2018年6月から第2子の産休・育休をいただいたのですが、そんな思いもあって、出産までは毎日オンライン英会話をし、出産後はビジネス書を毎月何冊も読み、PRプランナー試験を受験するなど、自己研さんもしていました。