お金と時間の「自己投資」を後回しにしない

―― 子育ての経験も、キャリアの一部として考えていいのですね。

平田 スキルや強みを習得していくことは、自分に付ける「タグ」を増やしていく行為でもあります。子育てによって、自分に「ママである」「パパである」というタグが付くことに。育休中にブログを書いた、習い事の教室に通った、子どもを通じて地域活動をした……なども、すべて自分のタグになります。

 最近では、複数の仕事をする「パラレルキャリア」という生き方も注目されています。副業やフリーランスを指すことが多いのですが、それ以外にも、子育てなどによって得た身近な経験を生かして、地域活動やプロボノ、コミュニティの幹事など会社以外の場所で活動する人は増えています。特別なスキルや才能がなくてはできない、というわけでは決してないのです

 そう考えると、出産・子育てはチャンスです。もし時間が取れれば、仕事やプライベートで自分がやってきたことを振り返り、棚卸しをしてみるといいと思います。自分に何ができるのか、これから何をしたいのかが見えてくると思います。

―― 子どもが巣立った後も、DUAL世代のお仕事人生は続きます。

平田 そうですね。今はどうしても子どもに集中したくなる時期ですが、将来の自分のために、少しずつお金と時間を投資することも大切です。本を読む、スキルアップの勉強をする、ボランティアをしてみるなど、何でも構いません。後回しにしないほうがいいですね。この時期に蓄えた力が、次の自由を手に入れるきっかけになるかもしれません

 時間が足りないなら、夫婦の家事・育児分担を見直すか、思い切って家事代行などを依頼し、自由になった時間を自分のために使うのも1つの選択肢です。罪悪感を覚える人もいるかもしれませんが、子どもに愛情を注ぐことと、自分のために時間を使うことは、別問題として考えてもいいのではないでしょうか。「可処分時間」が増えることで親自身が幸せになれば、家族が笑顔で過ごせる時間も増えるかもしれません。