「特別な自分にならなきゃ」なんて思わなくていい

―― キャリアの手綱を握るには、何か特別なスキルや才能が必要でしょうか。

平田 「自分の強みは?」とか「専門性は?」と考えると、「自分には何もない」と落ち込む方もいると思いますが、そんなことはありません。別に、インフルエンサーになったり、何かの第一人者になったりする必要はないのです

 大切なのは、目の前の人に感謝される仕事を、きちんとできること。「ワードやエクセルを使って正確な資料を素早く作れる」などでも構いません。自分にとっては当たり前のスキルでも、他人から見ればすごく重宝されることがあります。会社員として勤めている間に、自分なりのユニークな経験をきっと積むことができているはず。周りの人と比べなくていいんです

 今は経験や専門性に対して対価を払う土壌ができつつあります。人事、経理、マーケティング、総務、秘書……こうした事務系職種でも、実務経験を積んだ人は重宝されます。

積み上げたスキルは、数年では衰えない

―― 子どもが小さいうちは毎日を回すことだけで精いっぱいになりがち。時短勤務を選択するケースもあり、スキルアップへのイメージを持ちにくいです。どんなふうにこの時期を過ごしたらいいのでしょう。

平田 私が一番問題だと思うのは、この時期に自己肯定感が下がってしまうこと。特に育休から復帰した直後のママに多いのですが、思い切り働けないからといって自分を卑下したり、セルフディスカウント(安売り)をしたりする必要はありません。子育てと仕事を両立しているだけでも、仕事・家事・育児のマルチタスクを回しているわけですから、絶対に力が付いています。

 時間が足りない中で生産性を上げる工夫をしているはずだし、子育ては人を育てる行為ですから、マネジメント能力も付いている。テコでも動かない子どもをどう動かすか考えて、モチベートして励まして取り組ませる……すごいスキルです。

 育休をブランクとして捉えたり、時短勤務中の仕事を正当に評価してくれなかったりする企業はまだまだ多いけれど、それまでに積み上げたスキルは、数年休んだくらいでは衰えません。むしろ子育て中にしかできない「修行」をしているわけで、全体として能力は上がっているはずなんです。思い切り動けない期間は「基盤を整える時期」と考え、焦らず目の前の仕事に集中しましょう

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