資格取得、転職、独立など、子育てをしながらも一歩踏み出した人たちへインタビューするこの連載。今回は、育休中に独学でプログラミングを学び、未経験ながらIT企業へ転職したママが登場します。限られた時間の中で、どうやって勉強を続け、スキルを身に付けたのでしょうか。未経験での転職を成功させた秘訣、キャリアを築く上で大切にしている思いも聞きました。

西田晃代さん
コスモルート

大学卒業後、2007年から資産運用会社のミドルオフィスに勤務。26歳の時、急病で数カ月休職する。休職中に訪れたメキシコで、システムエンジニア(SE)として働く友人の姿に心を動かされ、SEの仕事に興味を持つ。2016年に第1子出産。育休中にオンライン講座でプログラミングの勉強を始める。1年の育休を経て職場復帰。2018年に第2子を出産。職場復帰後、2019年後半からSEとしてIT企業に勤務。現在は、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)としてWebシステムの構築やアプリ開発等を担当している。

西田さんの「キャリア自立」のポイント
○ 会社の価値観から離れ、広い視野で人生を見つめ直す
○ 安定よりも「自分が情熱を感じられる仕事」を優先
○ 朝型生活でプログラミングの勉強を習慣化

海外で活躍するSEの友人に刺激を受けた

日経DUAL編集部(以下、――) 西田さんは、資産運用会社で10年以上キャリアを積み、第2子の育休復帰後に未経験でIT業界へ転職しました。2人の育児と両立しながら、未経験でエンジニア(SE)に挑戦するというのは、ハードルが高かったのではないかと思います。なぜ転職を決意したのでしょうか?

西田晃代さん(以下、敬称略) 1番の理由は「もっとワクワクする仕事がしたい」という気持ちでした。

 前職では、大企業の子会社である資産運用会社のリスク管理部門で働いていました。安定していましたが、お客様と接することのない業務だったので「自分の仕事が誰かの役に立っている」と感じることができなかったんです。

 もう一つ大きかったのが、「あくまで女性はサポート役」という、当時の会社の価値観。とても優秀で私のベンチマーク的な存在だった女性の先輩がいたのですが、彼女の笑顔が年々減っていったのです。このまま、先輩と同じ道を歩んでいくよりも、もっと情熱を持てる仕事がしたいと思い、ずっと憧れのあったSEとしてIT業界に転職したいと考え始めました。

―― SEという仕事に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

西田 最初のきっかけは、26歳の時に急病で休職したことでした。1カ月近く入院した後、医師の指導で2カ月間ほど休職することになり、その期間に、友人の滞在しているメキシコを訪れたんです。友人はSEとして青年海外協力隊に参加し、現地で生き生きと働いていました。「プログラミングを学べば、世界中で働くことができるんだ」と、その姿に感銘を受けたんです。「今の仕事は自分には向いていないのではないか」と最初に感じたのもこの時です。

 その後、復職したのですが、無理をしないようにと周囲がとても気を使ってくれるようになりました。ありがたいことなのですが、できる仕事まで任されなくなり、仕事が減らされ、やりがいを感じられなくなっていったのはつらかったですね。

―― 仕事を任せてもらえないつらさは、ワーキングマザーの悩みと共通するところがありますね。その後、2度の出産を経て転職を考え始めたとか。転職を考え始めたタイミングが、2人目の育休中だったのはなぜなのでしょうか?