「ごめんね」ではなく「ありがとう」

 でもシンガポールに帰る途中、スマホで目にしたツイートにいいアドバイスが載っていました。

 ごめんねと謝ったら、子どもは「自分はかわいそうなんだ」と思ってしまう。でも、お母さんが「ありがとう、あなたがいい子でお留守番してくれたおかげで、ママはいいお仕事ができたよ」という言い方をすれば、子どもは役に立ててうれしいと思うはずだ。そんな内容でした。

 その時、子どもたちに謝るのではなく、仕事の内容をきちんと説明しようと心に決めました。出張先でどんなニュースを取材したのか、それを世界に伝えることがどうして大切なのかを、きちんと話し合おうと。

 パルから戻った時は、自然災害のことや、飲み水や食べるご飯がない人が世界にはいることを。ニュージーランドのクライストチャーチで起きたモスク銃乱射事件の取材から帰った後には、宗教の違いについて説明しました。

 (ちなみに、約束していたのに発表会に行けなかったことについては謝りましたが、「何のこと? あ~、ミク固まっちゃったんだ。でもママがいてもせりふ言えなかったと思う」と言われ、拍子抜けしました)

 今でも出張のときは毎回、娘にお土産をねだられます。「小学生くらいになるまでは、出張中に自分が忘れられていなかったという証拠がほしいから、お土産をねだるんだと思う」とママ先輩記者が教えてくれたので、今までのように私が選ぶのではなく、娘に何がほしいかを聞き、できる限りそれをかなえる努力をするようになりました(ニュージーランドからは「虹」、韓国からは「魔法のつえ」をリクエストされ、一苦労でしたが)。

 一緒にいる時間の長さより、その質を大事にしよう。