日本人で初めて、BBCワールドニュースでキャスター・リポーターを務めている大井真理子さん。シンガポールで働きながら妊娠・出産を経験し、現在は子ども2人を育てる母親でもあります。2回目は、ワンオペ回避の方法について。家事の外注を決断するまでの葛藤や、自分に課したルール、ママ友との関係づくりで工夫していることを語っていただきます。

思いがけない忘れ物が続いて自己嫌悪に…

 もうキャパ越えだ、と感じることがある。夫は「人間はハードディスクじゃないんだから」と言うけれど、脳のスペースが明らかに足りないと感じることが、一年に数回はあります。

 学校のイベントの準備しなきゃ。宿題終わらせてたっけ?(娘が現在通うkindergartenは勉強があり宿題も出るため、私たちは学校と呼んでいます) 習い事の月謝を銀行からおろしておかなきゃ。子どものお友達のお誕生会のプレゼント買うの忘れてた!

 そこに急な出張のアレンジが重なると、普段忘れるはずがないと思っていることを忘れてしまい、自己嫌悪に陥ります

 すべて完璧に調整したと思ったら、出張先で「あれ歯ブラシ忘れた」ということも。

 逆に言えば、海外出張や急な速報対応による残業がなく、定時で帰れる日が私にとって「キャパ内」ギリギリで両立できる日。

 アジア時間の朝の番組を担当している私は、ほぼ毎朝3時起き。昼の12時半に帰宅し、数時間昼寝をし、17時過ぎにスクールバスで帰ってくる子どもたちを迎えに行きます。

 そこから、20時過ぎの子どもたちの就寝(私もほぼ毎日一緒に寝落ち)までの数時間が、子どもたちと過ごせる大事な時間。夫はだいたい19時半頃に帰宅するため、平日に家族4人で過ごせるのは数十分です

 娘が離乳食を卒業する2歳前までは、できるだけ11時~19時勤務の遅番にしてもらっていました。仕事が終わってダッシュで娘を迎えに行き、私と夫の夕食はほぼ毎日出前、外食、テイクアウト。早番の日は昼寝の代わりに家事をこなし、寝不足が当たり前の日々でした。でも娘が大人と同じごはんを食べだすようになった頃、「この子に冷凍ピザは食べさせられない」と思い、悩んだ結果、ヘルパーさんに来てもらうことにしました。

5歳の娘の中国語の宿題。シンガポールの教育のスピードは速いです
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