部下の時間を奪う上司、上と下への態度が違う「ヒラメ上司」、その場の風向きによって意見や態度をコロコロ変える「風見鶏上司」――。これまで紹介してきたように、ブラック上司とひと口に言っても、さまざまなパターンが存在します。今回は、実際にブラック上司に遭遇した2人の読者のエピソードと、彼女たちが取った対策を紹介していきます。

フレックス制度を使うと「やる気がない」

 「理不尽な扱いに憤りを感じても、上司は自分の評価者であり、圧倒的に優位な立場。不満があっても、結局は飲み込むしかありませんでした」

 社員20人ほどの中小企業で働く菊池さゆりさん(仮名・40歳)は、数年前に現在の会社に転職。そこで出会ったのが、部下を自分の思い通りに動かそうとするブラック上司だった。

 「自分のミスを部下のミスとすり替えて上に報告するのは日常茶飯事でした。不満を訴えた部下を個室に呼び出して責め続け、部下が『私のミスです……』と根負けするまで解放しない。辞めてしまう人も多かったですね」

画像はイメージです
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 子育て世代の社員への理解もない。3人の子を持つさゆりさんが、両立のためにフレックス制を利用して早帰りすると、「やる気が見られない」「他の社員に悪影響を及ぼす」などと言われた。「早帰りをするために、朝一番に出社し、仕事をすべて終えた上で帰宅していることは知っているはずなのに。それまで、繁忙期に率先して残業していたことも、まるでなかったかのように扱われました」