育児を抱える部下に理解を示し、両立のための環境整備に努める「イクボス」と呼ばれるリーダーが増えています。一方で、無駄な資料作りや会議で部下に余計な仕事をさせ、現場を疲弊させる「ブラック上司」に悩まされている人も少なくありません。この連載では、ブラック上司に出会った場合の対処法や、自分自身が「ブラック上司化」しないためにはどうすればいいかを、識者への取材や、企業への取材などを通じて考えていきます。

保身のために態度が変わる上司たち

 前回紹介した「時間を奪うブラック上司」は、子育て世代にとって手ごわい相手ではあるものの、本人に悪意がない場合も多く、アプローチの仕方によって環境が改善できる可能性がある。では、保身のために部下を振り回す上司の場合、どう対処すればいいのだろう――。

 人事コンサルタントの柴田励司さんが指摘するのは、上への態度と部下への態度があからさまに違う「ヒラメ上司」と、その場の空気によって意見をコロコロと変える「風見鶏上司」の存在だ

 「海底に体をつけて上しか見ていないヒラメのごとく、上役の顔色ばかりを伺っているのがヒラメ上司の特徴です。上司の意向は絶対で、上から突き付けられた無理難題を部下に実現させようとしたり、ひとたびトラブルが発生すると責任を押し付けるケースも。こうした上司のもとでは、信頼関係など築けません。

 また風見鶏上司は、風の吹く方向を常に向いている風見鶏のように、自分の保身のために意見をコロコロと変えるのが特徴です。処世術にたけているともいえますが、部下からすれば、利己的な態度や発言で振り回されてしまうため、迷惑でしかありません」

 その一例を紹介しよう。

課長から「できるだけ急いで仕上げてほしい」と指示され、クライアントへの提案資料を作成していました。ところが、「まだこの案件を進めるタイミングじゃない」という部長の発言を聞き、課長の態度が一変。「だから慎重に進めろと言ったじゃないか!」と、まさかの手のひら返しにあいました。部長には、「どうやら部下がフライングをしたようです……」と、さも自分のせいではないかのようなアピールをして、私に責任転嫁。それ以来、課長のことを一切信頼できなくなりました。(36歳・女性・サービス・営業)

 似たような場面に遭遇した経験を持つ人もいるのではないだろうか。こうした上司は困りものだが、真っ向から対決して無駄なエネルギーを消耗するのも避けたいところ。良い対処法はあるのだろうか?

指示の内容が途中でひっくり返るのは避けたいもの。画像はイメージです