これまでの連載で、ブラック上司が生まれてしまう背景にはさまざまな要因があることが分かりました。一方、忙しい管理職の働き方を人事部主導で見直し、「スマートなホワイト上司」を育成する企業があります。

JXTGエネルギーは管理職でも有休取得率が約90%(2018年)。また男性育児休業の取得率も34.9%(17年度)と、比較的高い数値を実現。管理職改革に力を入れる理由は何なのか、また、当の管理職はどう感じているのか。人事部勤労グループマネージャー(以下、GM)の増田直仁さんと、「働き方が180度変わった」という産業エネルギー部 部長の山田大介さんに聞きました。

過去の成功体験に縛られては生き残れない

日経DUAL編集部(以下、――) 以前の取材では、「10を8でやる」改革や、残業削減のための具体的なアクションについて伺いましたが、改めて、こうした取り組みを始めた背景を教えてもらえますか?

増田直仁さん(以下、敬称略) 取り組みをスタートした理由としては、適正な労務管理をきちんとやっていかないと、優秀な人材が確保できないといった危機意識があります。将来を見据え、企業の力を向上させていくには、短時間で価値の高い仕事をして生産性を高めていかなくてはいけません。また、残業をなくし、休みを取得することでプライベートを充実させ、そこで得た刺激を仕事の発想につなげてもらいたいという思いがあります。

人事部勤労グループマネージャーの増田直仁さん
人事部勤労グループマネージャーの増田直仁さん

 従業員は会社の貴重な財産だという観点から健康的に働ける環境を目指す。そのためのベースとなる行動指針が「Action5」です。組織の体制が変わったのを機に、2019年7月、8つあったアクションを5つに集約しました。管理職を含め、これらを行動指針としてみんなで守っていくというものです。

Action5の内容
●20時ルール(原則20時までに退社し、それを超える場合には事前に管掌役員などの承認が必要)
●フレックスタイムの積極活用
●年休取得の促進
●「日曜日は原則出社しない・させない」運動
●「いつまでどこまで」運動(所属長の業務命令は目的・期限・品質を明確にし、一般職はほかに抱えている業務を伝えた上で命令を受ける)

―― 管理職に率先して年休を取得するように提唱した結果、18年度の管理職の年休取得率は90%になりました。なぜ高い数字を達成できたのでしょうか。

増田 理由は2つあると考えています。まずは、Action5などの全社的な取り組みを通じ、ワークライフバランスや、心身の健康増進に対する社員の意識が高まっていること。

 2つ目は、会社として年休を取得しやすい仕組みを取り入れていることです。具体的には、管理職を含め、年間の休暇取得や、連続休暇(夏休み等)の予定表を年度初めに作成してもらいます。また、管理職については、特に率先して取得する観点から、年間の年休付与日数に対し、未取得日数が5日を超えた場合は管掌役員へ報告させるなどの仕組みも導入しています。

正直、面倒くさいぞ

―― 以前は8つあったアクションのうち半分が「管理職改革」だったそうですね。管理職の意識改革や働き方について、研修などを取り入れる企業は多いですが、具体的なアクションプランまで落とし込んでいるケースはあまり例を見ません。

増田 やはり管理職が変わっていかなくてはいけないという意識は強くありますね。過去の成功体験に基づいて生きていける時代ではありませんし、むしろそこに縛られていたら新しいことを生み出せません。ですから、こうした基準や方針としてあえて明記することで、常に意識を高めてもらうことが大切だと思っています。

―― 実際に管理職の立場である山田さんに伺います。会社からこうしたアクションプランを示された時はどう思いましたか?

山田大介さん(以下、敬称略) 正直言いますと、これは面倒くさいぞと(笑)。

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  • 残業ゼロを管理職自ら「宣言」
  • 以前は「残業の権化」だった
  • テレワーク第1号は上司
  • 改革にはコミュニケーションが大事

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