子育てをしながら管理職に挑戦する…そんな「ママ管理職」は、もう特別な存在ではありません。リモートワークなどの新しい働き方も追い風となる中、どんな思いで働き、キャリアを描いているのでしょうか。仕事のやりがいや葛藤、子育てとの両立方法などについてのインタビューを通して、毎日バタバタ、悩みながら一歩一歩進むママ管理職のリアルな姿を紹介します。

今回は、人材サービス事業を行うウィルグループのグループ会社で、人材派遣や人材紹介などの事業を展開するウィルオブ・ワークでマネジャーを務める柴田真希さんのストーリーを前編・後編でお届けします。前編では、出産後に自ら手を挙げて大阪から東京へ転勤した話や、家事と業務の効率化のために実践していることなどについて聞きました。

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育休復帰後に「勢いで」東京への転勤に挙手

 生まれも育ちも京都という柴田真希さんは、大学を卒業後、2005年に大阪に支店があった人材派遣会社のセントメディア(現 ウィルオブ・ワーク)に入社し、営業とスタッフケアを行うコーディネーターを担当。2007年夏、入社3年目にして20代でリーダーに昇格し、翌年4月には、求職者に仕事を紹介するキャリアアドバイザーの仕事に就任した。当時の社員は100人程度。20代でリーダーになるのはよくあるケースだったという。2010年9月に結婚。2011年春から事業部専任の戦略推進・社員教育を担当し、同年12月に第1子を出産。約1年後に、育休前に経験したキャリアアドバイザーとして職場復帰した。

 同社で育休から復帰した社員は柴田さんでまだ3人目。そのため、「復帰前はなんとか仕事に戻れればいいと思っていた」。京都から大阪まで通勤していたので時短勤務を選択したが、繁忙期は実家を頼って残業した。慌ただしい日々ではあったものの、以前と同じように働ける喜びを感じていた柴田さん。だが徐々に、心のうちに「物足りない」という思いが芽生えるようになった

 「仕事内容が育休に入る前とあまり変わらなかったこともあり、自分が成長している実感が持てず、この状態を長く続けることはできないと感じました。子育てで実家に甘えすぎているのも気になっていたので、親から少し離れて育児と仕事の両立をしたいとも思っていました」

ウィルオブ・ワーク 管理部 マネジャーの柴田真希さん(38歳)
ウィルオブ・ワーク 管理部 マネジャーの柴田真希さん(38歳)

 復帰から約2年後の2014年末、モヤモヤを抱えた柴田さんは、ついにある行動を起こす。東京で募集していた、新プロジェクトの担当者に手を挙げたのだ。子どもはまだ3歳。引っ越しが決まれば保育園問題も浮上してくる。あらゆるシミュレーションをした上でのアクションだったのかと問うと、柴田さんは「どうせ応募しても通らないと思って、深く考えず、勢いで応募した」と笑って返してくれた。

 「ダメもとと言いつつ、『私はこのままでいるつもりはありません』というメッセージも込めていました。社内公募が通らなければ退職も検討していましたが、この時点ではまだ夫にも応募したことを打ち明けていませんでした」