子育てをしながら管理職に挑戦する…そんな「ママ管理職」は、もう特別な存在ではありません。リモートワークなどの新しい働き方も追い風となる中、どんな思いで働き、キャリアを描いているのでしょうか。仕事のやりがいや葛藤、子育てとの両立方法などについてのインタビューを通して、毎日バタバタ、悩みながら一歩一歩進むママ管理職のリアルな姿を紹介します。

今回は、星野リゾートが2016年に東京・大手町に開業し、日本旅館の新しい形を提供する「星のや東京」の総支配人、李根株(イ・グンジュ)さんのストーリーを前・後編でお届けします。前編では、韓国から来日して就職、そして20代で自ら手を挙げて管理職にチャレンジするまでを紹介します。

25歳で社内制度を利用して管理職にチャレンジ

 「年齢を気にしないので、自分が何歳かつい忘れてしまうんです」と笑顔で話すのは、保育園児の娘を育てながら、高級日本旅館「星のや東京」で働く約100人のスタッフを率いる総支配人の李根株さん、34歳。韓国人の李さんは、母国の大学で日本語を学び、進路を大学院進学か就職かで迷っていた年の夏休みに来日して星野リゾートでインターンを経験。国籍や性別に関係なくチャレンジできる職場に魅力を感じて、2010年11月に同社に入社しました。

星のや東京 総支配人の李 根株(イ・グンジュ)さん (34歳)
星のや東京 総支配人の李 根株(イ・グンジュ)さん (34歳)

 キャリアの始まりは、客室の清掃やフロント、調理などすべての業務に取り組むサービスチームから。その1年後の2011年11月に部署異動の社内公募に手を挙げ、ブライダル部門へ異動します。その理由は、「サービス業の中でも難しいとされるブライダル業の仕事ができるようになれば、日本でどんなサービス業でもできるのではないかと思った」からでした。

 最初は式の介添えスタッフから始まり、次にウエディングプランナーとして外国人のクライアントだけでなく、日本人のクライアントの担当もチャレンジすることに。そこで立ちはだかったのが、語学の壁でした。数々のウエディングの専門用語や、「~でございます」といったブライダル業務で使用する敬語などの微妙な使い分けにも苦戦しながらも、猛勉強の末、年間100組ほどの日本人クライアントを担当する人気プランナーへと成長を遂げました。

 チャレンジによる経験の積み重ねで自信がついた李さんは、2014年の25歳のときに社内のマネジメント立候補制度を利用し、ブライダル部門を取り仕切るブライダルユニットのディレクターに立候補します。北海道の「星野リゾート トマム」でのウエディングにおいて、挙式の売上高を上げるという戦略のプレゼンを行い、アシスタントユニットディレクターという管理職の座をつかみました。李さんは、20代という若さで管理職になりたかった理由をこう話してくれました。

 「韓国人の私にとって、星野リゾートは外資系企業。大学時代から外資系企業で管理職を務める女性に憧れがあって、早くそのポジションにたどり着きたいという思いがありました。女性でもキャリアの限界をつくらずにどんどんチャレンジしていきたかったので、そのスタートラインに早く立つためにマネジメント職に立候補したのです」

次ページから読める内容

  • 立ちはだかった「言葉」と「価値観」の壁
  • 幅広い年齢層のチームをどうまとめればいいのかと悩む

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