困っている母親をサポートする仕組みは十分ではない

 しかも、「人として、養育費は払うのが当然」という社会的なコンセンサスがあり、養育費を払わない男性は「クズだ」と思われる風潮があるようで、取りはぐれることは日本よりも少ないそうなんですね。

 ところが日本には、「払わないやつ、多いんだよねえ」「ないものはもらえないから、しかたがないよねえ」と、払わない男性を世間が受け入れてしまう風潮がありませんか? 日本で養育費を受け取っているシングルマザーは24%程度だそうです(厚生労働省の16年度調査)。4月には改正民事執行法が施行されて、転居や転職をした相手の勤務先や預貯金の情報が得やすくなりましたが、現状ではまだ、もらえなくて泣き寝入りしている女性が少なくないはずです。

 一方で、「お母さん」に対しては厳しいですよね。もしも、子を持つ女性が「お母さん」であることを放棄したら非難されるのに、男性が自分の子どもの養育から手を引いても、正面からとがめられることはあまりないように思います。困っているお母さんをサポートする仕組みがないわけではないけれど、決して十分ではなく、苦境に立たされている人がたくさんいます。