ICTとリアルな関わりを組み合わせる

佐々木 動画は何回でも繰り返し見ることができるので、授業中に理解が追いつかなかったという場合は、家で動画を見ることで補習が進むケースもあるでしょう。学校の授業では分からなかったことが、動画を見て理解できたという子もいると思います。

 一方で、学校から課題を配信しても、それだけですべての子どもたちが家庭学習を進められるわけではありません。配信するコンテンツがどんなに優れたもので、どんなに分かりやすいものだったとしても、自律的に学びに向かえる子どもは限定されるだろうと考えています。

 手段がアナログかデジタルかに関係なく、家庭の中で自律して学びに向かうことができない子は必ずいます。自分から進んでツールにログインができない、または、ログインはしたけど課題を進められないというケースがあると思うのです。「ログインしなかった」という状況まで把握することができるので、自律して学びに向かうことが困難な子どもを特定することができます。

 そういった子に対しては、学校の中で、先生や友達のリアルな関わりが必要になります。我々は、スタディサプリですべての子どもたちをサポートできると思っていません。個々の子どもたちの状況を把握できるようになることで、ツールでサポートできなかった子を、授業の中でサポートしていくことができると考えています。うまくバランスを取っていくことで、学力格差を軽減し、個別最適化の学びを実現していきたいと思っています。

―― 確かに、一人でもコツコツ進められる子はいますが、みんなでやったほうが楽しいと思う子や、先生の関わりによってやる気を出す子もいます。それぞれの子どもに合った学び方のスタイルを、ICTとリアルな関わりを組み合わせることで提供していくということなのですね。

 想定外の効果はありましたか。

写真はイメージです
写真はイメージです