視界に入るくらいのところに、それとなく置いておく

桑原:子どもがしていることを、なるべく止めないことです。もちろん、本当に危険なことは止める必要がありますが、例えば、泥んこ遊びなど「汚れちゃうからやめてほしい(親のほうが面倒くさい)」と思ってしまうことでも、時間の許す限り止めないでほしいです。子どもはその活動の中からいろんな発見をしていきます。そして、その発見から、また新たな興味や好奇心が生まれていくと考えています。

 自由に活動しながら「発見」を重ねることで、自分自身の興味や関心のベクトルを自分で伸ばすことができるようになります。

 「これが良いよ」と大人が何かを与えてしまうと、自分で自分のベクトルを伸ばす力は付きにくいので、与え過ぎないのもポイントです。視界に入るくらいのところに、それとなく置いておくような関わりのほうがよいと思っています。

―― 子どもが自分自身で「発見」できるように、大人から与え過ぎないことも大切なんですね。

桑原:そうですね。植物の根っこは、根っこに直接水を与えなくても、近くの水の存在をキャッチして自分で根を伸ばしていけます。子どもの興味や好奇心も根っこと同じで、自分でそのベクトルを伸ばしていく力がありますよ。

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 「子どもを主体とした学び」の実現は、ICT環境整備だけでなく、子ども自身の主体性と好奇心、友達同士の人間関係といった、アナログ要素も必要になるとのこと。さらに、保護者の役割も大きいと聞き、子どもたちが自由に学ぶことを楽しめるように、日々の関わり方を見直したいと思いました。

取材・文/森田亜矢子