―― 「自由も楽ではない」という言葉に、ドキっとします。私自身、会社員だった時代に、与えられたミッションをこなす日々の連続で、自分がやりたいことが自分でも分からなくなってしまった経験があります。

桑原:自分の好きなことを見つけたり、自分の考えを持って行動したりすることは、決して簡単なことではありません。しかし、これはとても重要な力です。

 1人1台のICT端末が配られネットワークにもつながって、「自分の好きなように学んでいいよ」という環境が整っても、自分自身の考えや好奇心がなければ主体的な学びにはなりません。これを育てていくためには、学校教育だけでなく家庭での関わり方も重要になります。

好奇心を伸ばすために家庭で気をつけたいこと

―― 子どもの主体性や好奇心を育てるために、保護者はどのようなことに気をつけて関わればよいでしょうか。

桑原:今、世の中にはたくさんのコンテンツがあふれていて、習い事も多岐にわたります。親はつい、「これはぜひやらせたい」と思ってしまうのですが、僕はやらせ過ぎないことが大切だと考えています。

 子どもは、身の回りのものでも自由に触れていると自分なりの小さな発見をしていくものです。興味や好奇心を育てるにはその小さな発見がとても重要。親が与えるのではなく、子ども自身が自分で「発見」できるようにすることが大切です。

―― 具体的には、どんな関わりをすればよいですか。