遠藤 教育委員会が「校則をこうしろ」と言ってしまうと、それは人が決めたルールになってしまうので、あくまでアンケートは、各学校の中での校則の見直しにつながるきっかけづくりだと考えています。

 また、子どもだけでなく、先生も社会をつくる一員ですから、同じようにそのルールづくりに自分の意見を持って参加していくべきです。先生による指導も、「これがルールだから従いなさい」ではなく、「自分たちでつくったルールだから守ろう」という形に変えていかないといけないですよね。

―― そのためには、校則などのルールは、必要に応じて適宜見直されるという運用に変えていく必要がありますね。

決まった正解がない問題を扱っていく力になる

遠藤 みんなでルールをつくっていくことは、決して簡単なことではありません。当然、賛否両論、いろんな意見が出るでしょうから、対話が必要になります。しかし、対話をしながらみんなの意見をまとめていく過程は重要で、これこそ民主主義であり、決まった正解がない問題を扱っていく力にもなるでしょう

 こういった対話をしていると、世の中の見方が変わってくると思います。昨年の米大統領選挙でも、「自分の支持している候補者が絶対的に正しくて、対立する候補者は絶対に間違っている」とする人も多く見受けられましたが、実際は、どちらかが絶対的に正しいことも、絶対的に間違っていることもないと思います。

 「正しい・正しくない」という思想ではなく、「どうしたらみんなの納得感が得られるか」という視点を持って対話をしていく力や、その対話のプロセスが、今の社会ではとても求められていると感じます。

―― 保護者も学校という社会を構成する一員だと思いますが、保護者はもっと学校に意見を上げていくべきでしょうか。現在は、「モンスターペアレンツと思われたくない」という不安から、学校に意見をする人はあまり多くないと感じます。

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