コロナ禍で浮き彫りになった課題を前向きに捉え、日本の公教育を変えたい――。自身も小1と4歳の子どもを育てる、子育てマーケターの森田亜矢子さんが、そんな思いで、先進的な取り組みやキーパーソンを紹介する連載。前編に引き続き、ICT活用が、学校と保護者、先生と子ども、子ども同士のコミュニケーションにどのような影響を及ぼすのかについて、教育情報化の専門家である国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの主幹研究員・准教授の豊福晋平さんに聞きます。

【前編】公立小学校 紙の連絡帳のデジタル化によるメリットとは
【後編】小学校に新たな役割 SNSリテラシーも学ぶ場に ←今回はココ

 実社会においてはデジタルなコミュニケーションが生活に根付いていますが、公教育の現場は、手書きや電話といったアナログ手法が残っていて、社会と教育現場のコミュニケーション手法には開きが存在しています。GIGAスクール構想で1人1台端末が配られて変わるのは、子どもたちの学び方だけではありません。学校内外のコミュニケーションを大きく変える可能性があります。

 ICTによって、学校を取り巻くコミュニケーションはどのように変わるのか。前編に続き、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの主幹研究員・准教授の豊福晋平さんに聞きます。

オンラインのコミュニケーションを正しく学ぶ

森田亜矢子(以下、――) 前回は、学校の情報発信には価値があり、学校の日常が保護者にきちんと共有されることで、家庭での対話を通じて子どもの学習定着を促進する効果も期待できると聞きました。

 ICTの活用によって、学校と保護者間のコミュニケーションは活性化しそうだと感じますが、子どもたちのコミュニケーションについてはどのような変化が生じますか。

豊福晋平さん(以下、敬称略) これまで学校の公式なオンラインの連絡手段といえば、学校代表のメールアドレスくらいで、子どもたちも先生も個人で扱える公式なオンラインのコミュニケーションツールを持っていませんでした。GIGAスクール構想では学習履歴を管理するために何かしらの個人IDが配布されるはずですが、今後はIDでログインするクラウド基盤が子どもたちにとっての公式なコミュニケーションツールとなり、先生や友達とオンラインでのやりとりができるようになります。これは、子どもたちにとって、かなり大きな変化になるでしょう。

 小学校高学年や中学生以上では、既にスマホを持って私的にオンラインのコミュニケーションをしている子どもがいると思います。これまで学校ではオンラインでのお作法を実際に学ぶ機会がなかったため、対面でのコミュニケーションとの違いや、オンラインゆえに配慮すべきことを知らないまま、SNSなどプライベートな場でやり取りを行っていました。それゆえ、時には仲間はずれやイジメなどのトラブルに発展することもあるので、子どものオンライン・コミュニケーションに対してネガティブな印象を持つ保護者や先生もいると思います。

 まず整理しておきたいのは、学校が付与するIDと個人スマホのLINEなどのIDとは全くの別物で、IDにもコミュニケーションの場にも「公式」と「プライベート」があるということです。学校のような公式な場で、きちんとオンライン・コミュニケーションの基本的なルールを学び、実践的に練習していれば、プライベートな場でのトラブルも抑制されます。プライベートなIDを使い始める前に、公教育でコミュニケーションのお作法を体験して学んでおくことが重要だと考えています。

―― 個人スマホを持つ年齢になる前に、学校の公式IDで練習しておくとよいのですね。しかし、実際にはどのように練習していくのでしょうか。スマホを持つ前の年齢の子どもたちが、学校でどのように学ぶのか、なかなかイメージができません

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次ページから読める内容

  • SNSについてはどのような教育が望ましい?
  • 学校のICT活用で増やすべきはコミュニケーション量

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