受験で学んだ「逆算」は、社会に出ても役立つ

西岡 センター試験の過去問を20年分、繰り返し解きまくりました。

 過去問を使った勉強がいいのは、何より不安が少ないんですね。偏差値35の自分が東大に合格するには、圧倒的な時間を投資するしかないと思っていました。けれど、ものすごい量の時間を投入している今の勉強が、本当に合格につながっているのかどうかが分からない。すると不安になって、モチベーションを持続できません。

 この点、過去問は最強です。事実、過去に出題されている問題なのですから。この問題を解けるようにすることは、確実に合格につながるはず。解けば解くほど、合格に近づく。勉強が「積み上がっていく」という実感が得られました

 実は、この勉強法も、高校時代に読んだ『ドラゴン桜』に影響を受けています(ご興味のある方は、『ドラゴン桜』第12巻・111限目「モグラ叩(たた)き」をご参照ください)。

 このときに学んだのは、「逆算」の重要性です。漠然と勉強するのではなくて、最終的にどういう問題が解けないといけないかを先に認識して、そこからの逆算で勉強していく。受験勉強で過去問を解くのは、逆算の第一歩です

加藤 以前、精神科医の和田秀樹先生を取材させてもらった時にも、同様のお話をされていました。

 『受験は要領』(PHP文庫)などのベストセラーで知られる和田先生がおっしゃっていたのは、受験において重要なのは、模試の偏差値を上げることではなく、入試本番で合格最低点をクリアすることである。だから、やった勉強量で勝負するような根性主義の勉強法を変えろ、ということです。入試には出ないようなことにまで愚直に膨大な時間を割くのではなく、志望校の過去問で何点取れるかというところに主眼を置くべきだと。まさに「逆算」の発想です。

 逆算は、社会に出てからも大事になる思考習慣ですよね。仕事でも、ただ漠然と努力を積み上げてもダメで、最終的なアウトプットを意識して段取りを組むことが、強く求められます。そのほうがずっと効率的で、時間も有効に使えます。

西岡 そうなんです。受験勉強に真剣に取り組めば、そこで身に付く能力は、社会に出てからも絶対に役立つし、「生きる力」につながると思うんです


構成/加藤紀子、小野田鶴(日経ビジネス編集部)

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マインドを変えれば、地頭力も上がる!

偏差値35から東大合格して、『ドラゴン桜2』の編集担当になった僕が、東大生に学んだメンタル・テクニック。

東大生の地頭のよさは、実は、 4つの非認知能力 に支えられています。
(1)「主体性」 を持ち、
(2)「メタ認知力」 を発揮することで、
自分の現状を把握し、さらに、
(3)「セルフコントロール」 を働かせながら、
(4)「戦略性」 を持って行動する。

このような心の習慣ができると、「やるべきこと」に前向きに取り組めるようになり、学びがぐんぐん深まるのです。

みなさんも、僕と一緒に4つの壁を乗り越えて、やりたくないことでも結果が出せる、地頭力の土台をつくっていきませんか。

【1】「目的」の壁 - やるべきことを「やろう」と思える主体性
【2】「やるべきことがわからない」の壁
      - 自分がやるべきことを突き止めるメタ認知力
【3】「モチベーション」の壁
      - やり始めたことを「やり続ける」ためのセルフコントロール
【4】「戦略」の壁
      - 「いいところまできたけど、あと一歩」を乗り越えるための戦略性

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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
西岡 壱誠(にしおか・いっせい) 1996年生まれ。偏差値35から2浪で東大合格。東大入学後、漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の担当編集となり、ドラマ日曜劇場「ドラゴン桜」の脚本監修(東大監修)を務める。2020年にカルペ・ディエムを設立し、全国6つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を展開。高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師に指導法のコンサルティングを行っている。『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)など著書多数

加藤紀子(かとう・のりこ)
加藤紀子(かとう・のりこ) 東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現 KDDI)を経て、渡米。帰国後は中学受験、子どものメンタル、子どもの英語教育、国際バカロレアなど、教育分野を中心にさまざまなメディアで取材、執筆を続ける。1男1女の母。2020年『子育てベスト100 「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(ダイヤモンド社)を出版、16万部突破のベストセラーになる。