漫画『ドラゴン桜』が教えてくれた「アウトプット重視」

西岡 渋谷先生から「東大進学」という可能性を提示されたとき、個人的にすごく魅力を感じることがあったんです。

 それは「東大生になれば、いじめられない」です。僕が、なぜ東大受験に本気になれたかといえば、「いじめられたくなかったから」です。

 こんなことを考えたんですよね。「東大に合格すれば、さすがに僕のことをいじめる人はいなくなるだろう。何より、僕自身が劇的に変わるはず。そうすれば、いじめられっ子だった過去の自分を否定できる」。これは、僕にとって強い動機付けになりました。

加藤 渋谷先生に発破をかけられたのは、何年生のころでしたか。

西岡 高校1年生から2年生に上がるタイミングです。

 だから、高校2年生の間は、自分では結構、勉強したつもりでいました。ところが、高校3年生になって受けた全国模試は、先ほどの写真の通りで、偏差値35。なんと成績が1ミリも上がっていなかったのです。これにはびっくりしました。

加藤 1年間、勉強を頑張って、全く成績が上がらなかったというのは、何か決定的な原因があったのでしょうか。

西岡 要するに勉強法が間違っていたのです。高校2年生の1年間、それなりに頑張ったつもりでも偏差値35のまま。そんな事実を突き付けられて、僕がぼんやり思ったのは、「本を読むだけでは成績は上がらないんだな」ということでした。

 高校2年生の間、僕がしていた勉強は、教科書を「読む」、参考書を「読む」というものでした。教科書や参考書を読み進めると、練習問題が出てきますよね。そこで練習問題を解いてみると、解けない。そこで何をしていたかというと、該当する部分の教科書や参考書を読み直していました。今思うと、本当にバカです。当たり前の話ですが、教科書を「読み直す」のでは、解けなかった問題が解けるようにはなりません。

 要するに、アウトプットが足りなかったのです

 このことを、当時の僕に気づかせてくれたのが『ドラゴン桜』でした。

『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜』第4巻・31限目「英語を使え!」(C)Norifusa Mita/Cork

西岡 水泳を覚えるにはまず水に飛び込むこと――。

 このセリフを読んで僕は、「ああ、自分は今まで、陸の上で泳ぐときのフォームを練習するような勉強ばかりをしていたんだな」「だから、成績が伸びなかったんだな」「教科書や参考書を読むだけではダメなんだな」と、気づけたのです。

 そこから、アウトプットを意識した勉強に切り替えたら、高校3年生の1年間で偏差値65まで伸びました

加藤 それもすごい。“爆上げ”ですね。どんな勉強をしたんですか。