NHK「ニュースウオッチ9」で気象キャスターを務め、2021年に放映されたNHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」でも気象考証を担当した斉田季実治さん。防災士や危機管理士、星空案内人など、さまざまな顔も持ち、プライベートでは男の子3人のパパでもあります。連載第4回では、秋から冬にかけての空や星の楽しみ方を伝えてくれました。

【気象予報士 斉田季実治 子どもと空を見上げてみたら】
第1回 斉田季実治 親子で空を見上げ、天気の不思議を楽しもう
第2回 公的サイトは災害情報の宝庫 子育て世代こそ活用を
第3回 「宇宙天気予報」 未来に備えて親子で学ぶ機会を
第5回 斉田季実治 のめり込む親の姿から子の興味が育つ
第6回 斉田季実治 夫婦でキャリアを描く大切さを伝えたい

秋は雲や空の色に注目すると面白い

 こんにちは。気象予報士の斉田季実治です。秋になると、日本列島は移動性高気圧に覆われるようになります。同じように移動性高気圧に覆われる春は、中国から黄砂が飛んできたり、空気中の水分が多くて空がかすんだりすることが多くあります。秋はそのようなことが少なく、空気が澄んで透明度が高くなるため、空が高く見えます。「天高く馬肥ゆる秋」という言葉の通りですね。

 特に10月後半から11月にかけては、例年秋晴れが多く、空を観察する絶好のチャンス。晴れた日の昼間、空を見上げると、「うろこ雲」や「すじ雲」が広がっているのが見えます。「いわし雲」と呼ばれることもあるうろこ雲は、正式には「巻積雲」といいます。すじ雲ははけで掃いたように見える雲で、「巻雲」が正式名。どちらも上空の高いところに見られる雲です。

うろこ雲(左)とすじ雲(右)
うろこ雲(左)とすじ雲(右)
うろこ雲(左)とすじ雲(右)

 都会は人や車が多いので、午後になるとチリが空気中に舞い上がって、だんだんと空はかすんできます。そのため、雲を観察するなら、午前中がおすすめです。保育園の登園時や、子どもが小学校へ行くときに一緒に観察してみてはいかがでしょうか。

 空気中のチリの量は、朝焼けと夕焼けの色の違いにも関係してきます。夕焼けが見える時間帯は空気中のチリが多く、光を散乱するため、赤みが強く見えます。朝焼けは空気中のチリが少ない時間帯のため、赤色が薄いことが多く、光が強くてまぶしく感じます。太陽光自体に変化はないのに、条件によって見え方が異なるのは面白いですね。

 太陽が沈む前後に空の色が変化していく時間帯「マジックアワー」も、秋から冬の季節はとてもきれいに見えます。特におすすめなのが、太陽が沈んだ直後、あたりが青い光に照らされる「ブルーモーメント」です。よく晴れた日に西の空を眺めて、その美しさを堪能してみてください。