女性役員割合は確実に上昇している
―― まさに多くのステークホルダーが関与して、コレクティブ・インパクトを生み出そうとしているのですね。これらの活動を通して実際に女性役員の数は増えているのでしょうか?
只松 今年7月末のデータでは女性役員(取締役+監査役)の割合はTOPIX100で12.9%となり、去年から2.4ポイント上昇しています。2018年から変化のスピードが加速しており、同年から女性役員が0人の企業数が大きく減少しています。去年女性役員0人の企業は15社ありましたが、今年は8社にまで減っています。これは大きな変化といえるでしょう。下図では、折れ線が女性役員比率を示しています。
―― 2020年に達成したいこと、課題と考えていることを教えてください。
只松 女性役員の数は確実に増えていますが、まだ十分とは言えません。女性役員が3人以上の企業数は増えていますが、TOPIX100、TOPIX Mid400のうち約70%の企業において、女性役員の数がまだ1~2人です。コーポレートガバナンスコードの改定や機関投資家からのプレッシャーから、とりあえず1~2人入れてみたという企業がほとんどではないかと思います。
ただ、多様性の本当の価値を実感するには、クリティカルマスである30%を達成することが必要です。今年から来年にかけては、特にこの「女性役員数1~2人」の企業に対してサポートを重点的に行い、クリティカルマスの実現をお手伝いすることで、本来、企業が狙っている多様性の価値を実感していただきたいと考えています。
文/阿部祐子 写真/小野さやか
