2020年9月に開催された日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト「ジェンダーギャップ会議」。「多様性のある組織が勝つ! 女性リーダーを増やす企業の戦略」と題したセミナーには、Web上で約4500人が視聴し、100もの質問や意見がリアルタイムで寄せられました。パネリストは、千葉銀行 取締役頭取 佐久間英利さん、花王執行役員 石渡明美さん、進行は日経xwoman総編集長 羽生祥子が務めました。イベントの内容を抜粋して上下で紹介します。

全国64の地銀が参加する「地銀人材バンク」とは

日経xwoman総編集長 羽生祥子(以後、――) では、次のテーマです。多様性の重要性が叫ばれて久しいですが、それを実行できていない組織は多いです。ぜひお二人に「私が取り組んできた自慢の活動や考え方」を教えていただきたいです。

千葉銀行 取締役頭取 佐久間英利さん(以下、佐久間) 2014年5月から、内閣府で「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」の立ち上げに関わり、他の参画メンバーの皆さんと、どうすれば女性の活躍が進むかということについて真剣に議論し行動宣言を作りました。そこで「自ら行動し発信する」「現状を打破する」「ネットワーキングを進める」という3つの柱を策定しました。

 さらに、2014年に発起人の一人として、全国地方銀行協会会員全64行の頭取と「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」を発足しました。全64行のうち、半分ぐらいが賛同してくれればいいなと思っていたのですが、結果、全行が賛同してくれました。

 この活動で特筆すべきなのは「地銀人材バンク」という制度です。職員が配偶者の転勤に伴って他の都道府県に引っ越す場合、ほとんどのケースで職員は退職して自分で新たに職を探さなくてはならなくなります。それを防ぐために転居先の地方銀行に再就職することでキャリアを継続できる仕組みを作りました。

「全国の地方銀行が参加して、地銀人材バンクという制度をつくりました」(佐久間さん)
「全国の地方銀行が参加して、地銀人材バンクという制度をつくりました」(佐久間さん)

佐久間 例えば、千葉銀行に勤めていた女性行員が夫の転勤で長崎に転居したとします。長崎には千葉銀行がありませんので、転居後に引き続き働きたいという場合は、人事部門を通じて、長崎県の他の地方銀行に紹介します。現在までに200人以上がこの制度を利用して再就職しています。

―― それはまた懐が深いですね。見方によっては、手塩に掛けて育てた人材の他行への流出ですよね。再び自行に戻ってきてくれるかどうかも分からない。でもそこは行員のキャリアを断絶させてはいけない、と思われたのですね。

佐久間 はい。すべての地方銀行が参加してくれているので、北海道から沖縄まで、その地域の銀行に勤めることができます。

―― 「一時は痛手だが長期的に見れば千葉銀行のためになる」という打算があったのではないと?

佐久間 そうではなく、地方銀行業界全体で女性にキャリアをつなげてもらいたいという一心です。

―― これは地方銀行に限らず、他の業界でも広まってほしい活動ですね。では、次に石渡さんにお伺いします。今、男性中心の企業で働いている若い女性の皆さんに、くじけずキャリアを積むおすすめの活動はありますか? 石渡さんは大企業の中でまさに「のし上がった女性」。いろいろなスキルがあるのではないでしょうか?