政治分野にクオータ制が必要な理由

―― 負の連鎖を断ち切るにはどうすればよいでしょうか? 男女割合を一定比率で割り当てる「クオータ制」についてはどう考えますか?

只松 負の連鎖に陥り、意思決定機関の多様性が進まないと、ジェンダー平等が重要であるという議論にすらなりにくくなります。また、ジェンダー平等の取り組みを実施するにしても、そのプロセスに当事者(女性)の意見が反映されにくいため、取り組みが限定的になりがちです。

 ガバナンスが機能していない状況においては、クオータ制の導入は絶対的に必要です。ただし、それを多様性が低い意思決定機関のメンバーにどう理解してもらい、行動に移してもらうかという問題があります。実際に今はガバナンスが利いていない状態なので、「クオータ制を導入しよう」という発想にはなかなか至らないでしょう。このような状況では、やはり国際的な圧力や国民の声(世論)が必要になってくるのだと思います。

―― 世界では、スウェーデンのように企業におけるクオータ制を促進している国もあります。企業のクオータ制に関してはどう思いますか?

只松 企業のクオータ制に関しては必要ないと思っています。その理由は、企業には、意思決定機関の多様性を促進するために効果的な方法がいくつかあるからです。

 例えば、機関投資家やZ世代を含む若い従業員からの働きかけ、世論や法改正などです。実際に今年の株主総会でもいくつかの機関投資家が、取締役会に女性が1人もいない企業の社長や候補選定を担う取締役の選任に反対する動きが起きています。しかし、政府に対しては、こうした働きかけの方法が限定されています。ですから政治におけるクオータ制など一歩踏み込んだ取り組みは大変有効だと考えています。