進行を務めた日経xwoman総編集長・羽生祥子
進行を務めた日経xwoman総編集長・羽生祥子

―― 今日の登壇者で唯一の男性であります石塚さん。今日は「マイノリティー」な立場ですが、男性からの意見も聞かせてください。実は、石塚さんと今回のイベントのタイトル決めを話し合ったときに「ジェンダーとか平等とかいう言葉を使うと、おじさんたちがびびっちゃうからやめたほうがいい」と言われました。これをひもとくと、日本でも生活や職場で「ジェンダー平等の壁」は常にある問題ですね。

日本経済新聞社 編集委員 石塚由紀夫 「ジェンダー」という言葉を使うと、その段階でアレルギー反応を示す男性が少なからずいます。ジェンダー格差は解決すべき課題として社会に歴然と存在します。このままでは今後の日本社会がうまくいかないのも明らかです。ただ、社会を変革するには、できるだけ多くの人を巻き込むことが重要です。不本意かもしれませんが、あえて彼らが拒否反応を示す「ジェンダー」という言葉を用いて、刺激するのは得策ではないと私は思ったまでです。ジェンダー平等を軽視する気持ちは全くありません。

―― 私も今までは「ジェンダーや平等を叫ぶだけでは、男性組織の中でうまくいかないのでは」という臆病な気持ちがあったのも確か。ですがグローバルの中での日本社会を考えると、そんなことを言っている場合ではない。子どもたちの世代のためにも、声に出していきたいと思います。

ジェンダー格差解消に、ハードとソフトの両面

石川 新型コロナウイルスの影響による問題を考える上でも、ジェンダーの視点を入れることが重要です。これは公衆衛生や経済危機の問題であると言われることが多いのですが、同時にジェンダーの課題でもあります。世界的に見ても、日本の国内を見ても、コロナの影響で女性や女の子がDVに苦しんだり、性的搾取を受けたり、いろいろな面で苦しんでいる様子が浮き彫りになっています。

―― どのようにジェンダー格差を解消するかという方法論として、石川さんはハードとソフトのアプローチを挙げています。

石川 私は「ハード整備」と「ソフト整備」という言葉を使っています。「ハード整備」とは法整備、政策立案、制度・仕組みづくりを指し、「ソフト整備」とは個人個人の意識改革を指します。これらは2つの車輪であって、両方があって初めてこのジェンダー平等は前進するものです。どちらか1つだけだとバランスを崩してしまいます。

石川 UN Womenはこの2つの整備を皆さんと一緒に行っていきます。特にソフト整備において、UN Womenでは男性の意識改革を目指した「HeForShe」という運動をしたり、企業トップの意識改革やリーダーシップを示すための「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」の署名を集めたり、2017年には性別役割分担などの固定観念を変えるための取り組みとして「アンステレオタイプ アライアンス」を立ち上げたりしています。「男はこうあるべき、女はこうあるべき」という意識を変えていく努力をしているところです。