2021年1月から、大学入試センター試験が「大学入学共通テスト」に代わり、「思考力」「判断力」「表現力」を求める問題が増えるなど、大学入試に大きな変化がありました。「頑張って猛勉強すればなんとかなった親世代の入試とは大きく変わっています。まずは、今の時代にどんな力が求められているか親が知ることが大事です」と話すのは、21世紀型教育を研究している石川一郎さん。新しい大学入試とはいったいどのようなものなのか、前編・中編・後編の3回に分けて解説してもらいます。

前編 大学入試改革の基礎知識 親世代とはどこが異なる? ←今回はココ
中編 大学入試改革 一般選抜での難関私大合格は至難の業に
後編 小学生のうちは「勉強嫌いにさせない」が最も大事に

大学入試は社会の変化に応じて変わっていくもの

 2020年度(入試は2021年に実施)から新しい大学入試がスタートしました。同時期に小学校でも新しい学習指導要領が導入され、約30年ぶりの“教育大改革年” となるはずでした。ところが、当初大学入試で予定していた英語の4技能評価と、国語と数学での記述式入試については、採点の不透明さが指摘され、急きょ前年に撤回。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に人々の関心が集まってしまったため、本来であればもっと話題になるはずの日本の教育大改革は、ひっそりとスタートすることになりました。

 こうしたことから、「教育改革といっても、実際は何も変わらなかったのでは?」と考える人は少なくないようです。しかし、石川さんはこう説明します。

 「確かに話題には欠けていました。しかし、今回の大学入試は、大きな変化があったと私は感じています。一番分かりやすい変化は、『大学入試センター試験』が『大学入学共通テスト』と名前を変え、実社会を意識した内容にシフトチェンジしたことです」

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