静岡県牧之原市で3歳の女の子が犠牲になった園送迎バスによる置き去り事件、北海道の宿泊施設敷地内で2歳の男の子が犠牲になったゴーカート死亡事故など、園や子ども向けのイベント会場、公園といった、安全性が高いと考えがちな場所で子どもが被害に遭う事件や事故が相次いでいます。わが子を守るために、親はどのようなことができるのでしょうか。専門家は、安全が確保されていると過信しない意識が大切だと話します。

なくならない子ども犠牲の事故

 幼稚園バスへの園児の置き去り事件、ゴーカートの暴走事故、公園の遊具での転倒事故。多くの人々が利用する場で子どもが犠牲となる事件や事故が後を絶ちません。ニュースが流れるたびに心を痛め、わが子が危険にさらされることに恐怖を覚えた親も多いのではないでしょうか。

 静岡県牧之原市の幼稚園で、3歳の女の子が通園バスに取り残されて死亡した事件では、その後、政府が再発防止に向けた緊急対策をまとめ、幼稚園などの送迎バスに安全装置の設置を義務づけることなどを盛り込みました。幼児も犠牲になった北海道・知床半島沖の観光船沈没事故を受けては、旅客船事業者への監視・監査の強化が打ち出されています。

 もちろん、これまでも事件や事故が起きるたびに、さまざまな再発防止対策が取られてきました。でも、同様の事故を完全に防ぐことは簡単ではありません。

 子どもの安全に関する国や自治体の取り組みに参画してきた特定非営利活動法人日本こどもの安全教育総合研究所理事長の宮田美恵子さんは「公共の場所で遊ぶ場合、施設や事業の管理者側がきちんと安全対策を行うということが大前提ですが、それでもヒューマンエラーなど予期しない事態が重なることはあり得ますし、子どもが思いもよらない行動を起こして事故につながってしまうこともあります。『ここは安全なところだから』と全面的に任せるのではなく、子どものことを一番知っている親があらためて安全かどうかを確かめる姿勢が大切です」と話します。

この記事で分かること
・子どもの安全は「みんなで確保する」という意識を
・公共の場でも、安全への過信は禁物
・保育所・幼稚園の安全性に不安を感じたら要望を
・子どもは想像以上に早く成長、一歩先をいく対策を