2022年10月に「産後パパ育休」と呼ばれる男性向けの出生時育児休業制度が創設され、男性の育児参画を推進する動きが広がりつつあります。子育てに正解はありませんが、男性が育児と仕事を両立する事例が世の中に少ない中で、仕事と育児を両立させているパパたちがどのように工夫しているのか気になる人は少なくないかもしれません。今回は、中学1年生から英国で12年間過ごしたバックグラウンドを持ち、現在は日本で1児を夫婦2人で育てるパパに取材しました。自身の育児の捉え方や英国の育児事情との比較などについて聞いていきます。

福原亮太さん(35歳)
国内の大手電機メーカーで鉄道の設計などを指揮するプロジェクトエンジニアとして働く1児のパパ。自身が中学1年生の時に親の転勤に伴って英国に渡り、大学院卒業まで12年間過ごした後、就職すると同時に日本に帰国。2020年10月に長男が生まれ、現在は中国地方で生活しながら、保険関連会社で事務職を勤める妻と育児を分担している。

「公平性」を重視しながら夫婦で育児を分担

日経xwoman DUAL(以下、――) 福原さんのご家庭では育児を分担する上で「公平性」を重視しているとのことですが、福原さん自身は、普段どのように育児に関わっているのでしょうか。

福原亮太さん(以下、敬称略) 今は、僕がフル出社で平日は育児をするのが物理的に難しいので、平日と休日に分けて育児を分担しています。平日は、僕が息子の保育園の送りを担当し、保育園のお迎えやご飯、お風呂、寝かしつけなど育児の大部分はリモートワークをしている妻が担当。その代わりに休日は、100パーセントではないけれど、育児は僕が主に担当しています。僕と妻ともに「できること」と「できないこと」、「得意」と「不得意」があるので、どちらかに負担が偏らないようにお互いにカバーし合いながら育児をしていこう、というスタンスです。

週末に家族3人でお出かけ
週末に家族3人でお出かけ

―― 育児の分担については、お子さんが生まれる前から夫婦で話し合っていたのでしょうか。

福原 「何時から何時までは誰が何をする」と明確に分担はしていませんでしたが、「ご飯と寝かしつけは妻、お風呂とおむつ交換は僕」と、ざっくりとした話はしました。でも、実際に息子が生まれると、毎日が想定外の出来事だらけで、最初の数カ月は夫婦2人で試行錯誤の日々でしたね。息子が保育園に通うようになってからは、毎日のルーティンができてきたので、より分担が明確になったと思います。

―― 出産前から夫婦で育児の分担について話し合われてきたのですね。2022年10月に「産後パパ育休」と呼ばれる男性向けの出生時育児休業制度が創設され、話題になっています。福原さんは育休を取得しましたか?

福原 育休は取得しませんでしたが、妻が退院した日から1週間ほど有給休暇を取りました。