まずはやってみよう! 寄り添いながら背中を押す

 実際にワークショップではどんなことが行われているのでしょうか。1回目で取り組むのは、「絵しりとり」。みんなの前に出てホワイトボードに絵をつないでいきます。言葉を発さずに、その絵が何かを想像して自分も描いていく。話をしなくていいので、初めて参加する子にもハードルが低いプログラムです。ただし、絵が苦手な子もいるため、描いてくれたものの、何の絵なのか誰も分からないなんていうことも。そんな時でも、その子が傷つかないようこっそり答えを聞き出し、「そうやんな~! 絶対そう思った! 俺は分かるよ」と必ずフォローを入れるそうです。

 「自分も役者のお仕事をもらった時に演技の下手さに劣等感を覚えたことがあるので、気持ちが分かるんです。でも、やってみたら楽しかったり、意外な評価をもらえたりする。苦手意識がリミッターになるのはもったいない。やらずに『できない』と言うよりやってみて考えたらいいやん」(木曽さん)と、寄り添いつつ子どもの背中を押します。

 少しずつ人前に立つことに慣れてきた2回目は、だんだん本格的なプログラムに挑戦します。筆者が取材した日には、最初に「この1週間で一番楽しかったこと」を発表して肩慣らしをした後、大喜利が始まりました。「こんなファミレスはイヤだ」というお題に頭をひねっている間もなく、次々と子どもたちの手が挙がる様子に驚きました。

 「店員が宇宙人!」「パンを注文したらパンダが出てきた」「ドリンクバーでジュースが顔にバーッとかかる」「入った瞬間に入り口が閉鎖されて店員が脱走する」「入ったら鏡の迷路から出られなくて精神的にやられてしまう」――。どれも奇想天外な答えで、改めて子どもたちの想像力は無限だと感心させられました。

大喜利のお題は「こんなファミレスはいや」
大喜利のお題は「こんなファミレスはいや」