値段や状況にもよりますが、どうしても言うことを聞かない場合、僕は「一旦、買う」という選択をすることもあります。そして家に帰って子どもが落ち着いたタイミングで「君がギャーギャー騒ぐから買ったけど、ほんまにこれでええのかな?」と話をします。「ものの手に入れ方としてどうなの?」という話や「こういう手口でおもちゃを買わせたことは信用問題になるよ」という話を、子どもの成長に合わせて積み重ねていけたらと考えています。

「お片づけは嫌だ」と子どもが言ったら

 長女は普段は整理整頓をするほうですが、「もう寝る時間だから片付けようか」と言ってもグダーッとして動こうとしないこともあります。そういう時は声のトーンに気を付けながら話しかけますね。叱るトーンだと、逆効果になることが多い。訓練を受けた工作員並みに強情になります。

 怒鳴ったりするのは、親のほうも消費するエネルギーが大きいです。その割には効果も薄い。コストパフォーマンスが悪いし「こんな手法しか取れないのか」と自己嫌悪に陥ることもある。

 だから、なるべく軽妙な明るいトーンで、「早くお片付けしよ!こちょこちょ~っ」と楽しい感じで語りかけます。お茶濁し、その場しのぎです(笑)。それでもダメならエサをぶら下げる。仕事で毎週山梨県へ行く関係で、我が家には信玄餅が常備されていて、餅は長女の大好物。「すぐにお片付けができたら、明日の朝、信玄餅を食べてもいいよ」と。まあ、それで動いてくれるなら、その時はそれでいいと思ってます。

 「ご褒美がないとお片付けできないのはどうなのかな?」という話は、また別のタイミングですればいいのではないでしょうか。

 扇風機から変な音がするからといって、羽根を回したまま手を突っ込む人はいない。修理・点検はコンセントを抜いてからです。それと同じように、「テレビを見たい」とか「眠い」とか、子どもの意識が別の方に向いている時は、どんな怖い言い方をしても響かない。取りあえずその場を乗り切ることを優先して、親が疲れない手段を取るのは悪いことじゃないと思うんです。

取材・文/都田ミツコ


山田ルイ53世
ルイ53世 1975年、兵庫県生まれ。地元の名門・六甲学院中学校に進学するも、引きこもりになる。大検合格を経て、愛媛大学法文学部に入学、その後中退し上京、芸人の道へ。1999年にひぐち君とお笑いコンビ・髭男爵を結成、ツッコミを担当。「やまなし調ベラーズ ててて!TV」MC、「はみだし しゃべくりラジオ キックス」、文化放送Podcast「髭男爵 山田ルイ53世のルネッサンスラジオ」のパーソナリティーを務めるほか、ナレーション、コメンテーター、執筆業、イベントなどでも幅広く活動中。主な著書に主な著書に『ヒキコモリ漂流記 完全版』(KADOKAWA)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、『パパが貴族』(双葉社)などがある。