テレビやネットで映し出されるウクライナの惨状。現実から目を背けてはいけないと思うけれど、子どもにはどこまで触れさせればいいのか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。教育家の小川大介さんとロシア問題の専門家の山添博史さんのアドバイスをヒントに、今後、この問題とその先の未来について親子でどう向き合っていくか考えてみましょう。

※この記事は4月4日に開催されたYou Tubeチャンネル「小川大介の『見守る子育て研究所』」のオンライン特別企画『親子で考えるロシア・ウクライナ問題 ~ウクライナと日本の未来を創る~』の内容の一部をまとめたものです。

戦争について親子で話す5つのポイント

 ロシアのウクライナ侵攻という未曽有の事態に対し、親としてわが子に何を語り、何を話し合えばよいのか。連日、テレビやネットで映し出されるウクライナの惨状を見て、モヤモヤした気持ちになっている親は多いのではないでしょうか。

 教育家の小川大介さんも高校生の子どもを持つ父親です。「現実を知っておかなければと思う一方で、どこまで親子で向き合えばいいのかとても悩んだ」と話します。そこでロシア問題の専門家である山添博史さんを招き、『親子で考えるロシア・ウクライナ問題』についてオンラインで対談を行いました。

 冒頭から山添さんはこう話します。

 「今、ウクライナで起きている問題は、ロシアが撤退して戦争を終わらせるという単純な話ではありません。一度動いてしまったものは、今後の世界の関係性を大きく変えていくことでしょう。つまり、今はその入り口にいて、平和をつくり直していくには30~40年と、子どもたちの世代にわたって向き合っていく必要があります

 では、今ウクライナで起きていることを子どもたちにすべて伝えるべきなのでしょうか?

 「それについては、子どもの精神的な状況を配慮する必要があると考えています」と小川さん。小川さんが参考にしているのは、子ども支援を行う非政府組織 (NGO)「セーブ・ザ・チルドレン」で提唱している「専門家がすすめる、子どもと戦争について話すときの5つのポイント」です。

【「セーブ・ザ・チルドレン」がすすめる
子どもと戦争について話すときの5つのポイント】


1.子どもが話したいと思っているときに時間をつくり、耳を傾ける
2.子どもに合わせて話をする
3.子どもの気持ちを受け止める
4.世界中の大人がこの問題を解決するために、懸命に努力していることを伝え、安心を促す
5.現実的な手助けをする

 小川さんはこう話します。

 「連日の報道で、今世界で大変なことが起きていることは、子どもも分かっています。純粋な子どもほど、『何が起きているのか』『どうしたらいいのか』と関心を持ちます。しかし、子どもが知りたいからといって、残虐な映像まで見せていいのか、親としては悩みますよね。東日本大震災のときに、被災地の人たちを助けたいと使命感を持ってボランティア活動をしていた人が、その後心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった事例が多く報告されています。痛みを共感することは大事ですが、自分の心身の健康を壊してしまってはいけません。子どもが知りたがったとしても、話をしている途中で苦しそうな表情を浮かべていたら、話を止めるなど、子どもの様子を見ながら慎重に対応するようにしましょう」

 親子でロシア・ウクライナ問題について考えてみたいけれど、ネットでは情報が氾濫しているし、SNS(交流サイト)などで流れてくる人の意見はバラバラ。親自身、一体、どの情報を信じればいいの?と頭を悩ませているかもしれません。

 正しい情報とフェイク(偽)の情報を見極めるポイントはあるのでしょうか。