仕事と家庭の両立など、さまざまな壁を乗り越えてきたママ社長やママ起業家をご紹介してきた不定期連載「私が壁を乗り越えたとき」をリニューアル。令和の時代を、時に迷いながらも前に突き進む起業ママや副業ママたちの挑戦を紹介していきます。第2弾にご登場いただくのは、Spider Labsを立ち上げた大月聡子さん(37)。3児を育てながら、インターネット上で発生する詐欺行為などの不正を検知するアドフラウド(広告詐欺)対策ツール「Spider AF」を開発・提供し、世界でナンバーワンのアンチフラウド企業になることを目指しています。

全社員51人のうち、約半数を12カ国の外国籍の社員が占めるSpider Labs。多様性のある職場を実現している背景には、子育てからさまざまな学びを得ていることも関係しているといいます。詳しく聞いていきましょう。

ゼロから自分の力でお金を稼いでみたい

 ポルトガルで5歳の男の子と4歳の女の子、1歳の男の子を育てながら、東京とポルトガルにオフィスを構えるSpider Labsの創業社長として50人の社員を束ねる大月聡子さん。次世代のためによりよい日本をつくりたいという思いが起業家としての原動力になっていると言います。

 アドフラウドとは、ネット広告において、不正な操作によってアクセス数を水増しすることで広告費を搾取する詐欺行為のこと。ネット広告は、アクセス数に応じて広告費を支払うという仕組みであるため、アドフラウドは広告主に大きな被害をもたらすものとして、危機意識が高まっています。

 世界広告主連盟(WFA)によると、2015年までに被害額が約500億ドルにまで上ると予測され、近い将来、反社会的勢力の大きな収入源になると懸念されています。欧米では、数年前から一足先に問題視されてきましたが、まだまだ日本ではなじみのない言葉。しかし、Spider Labsが21年7月~12月に行った調査によると、調査期間で解析したウェブ広告の6億9600万クリックのうち、約4.4%にあたる3062万クリックがアドフラウドだったことが判明し、今や迅速に対策を取らなければいけない状況だといいます。

Spider Labs代表 大月聡子さん(37)
Spider Labs代表 大月聡子さん(37)

 大月さんは、奈良女子大学理学部を卒業後、首都大学東京大学院で原子物理学を専攻し、重粒子線治療というがんの治療法について、物理の観点から研究をしていました。企業に就職して働くことに魅力を感じなかった大月さんは、「ゼロから自分の力でお金を稼いでみたい」と思い立ち、11年に大学院を卒業後、会社を立ち上げ、研究室を通して知り合った物理学専攻の学生6人と受託開発の事業をスタートしました。

次ページから読める内容

  • もっと自分たちの仕事を自分事にしたい
  • 不満が飛び交った時期もあった
  • 子育てでの学びが仕事に生きた

続きは、日経xwoman登録会員の方がご覧いただけます

ログインはこちら
もっと見る