小4と3歳の男の子を育てる、手作りおもちゃ作家の佐藤蕗さん。身近にある材料で、子どもの興味にぴったりのおもちゃを作り、著書などで提案してきました。最近、なるべく新しい素材を購入せず、廃棄物や不用品を材料にした「サスティナブルトイ」作りに改めて力を入れているそう。サスティナブルトイ作りに取り組むことでもたらされる3つの「よいこと」について、佐藤さんに聞いていきます。

リサイクルに出す前にもう1回活躍させる

 建築の仕事を経て、子育てしながら作ったおもちゃが話題になり、手作りおもちゃ作家として活動している佐藤蕗さん。DUALでも、「笑顔が生まれて親もうれしい、手作りおもちゃ5選」や、「丸魚のスケッチ習慣、家庭内起業…アート系夫婦の子育て」などの記事で、独創性あふれる手作りおもちゃや、子育ての工夫などを紹介してくれました。

 「私が自分で作ったり、皆さんに提案したりしてきた手作りおもちゃは、親の負担にならないように、家にあるものなど手に入りやすい材料を使うようにしていました。ただでさえ子育てで忙しい毎日なのに、わざわざ材料を買いに行くのはハードルが高いですよね。結果的に、ペットボトルや牛乳パックなどを使うケースが多くなりました」と佐藤さん。

 昨年ごろから、佐藤さんの元には、飲料や菓子などのメーカーから「消費者がパッケージを再利用できるおもちゃや工作を考案してほしい」といった依頼が多く寄せられるようになったといいます。気候変動対策など地球環境を意識した姿勢が企業にも求められるようになったことが背景にあると考えられます。

 「昔からリサイクル工作はありましたが、サスティナブルトイには、環境に対しての『意識』が含まれているところが違いだと考えています。例えば牛乳パックやペットボトルをオリジナルのおもちゃにすることで、付加価値が加わり、リサイクルされる前に、もう1回家庭で活躍させることができます

 「大きな地球環境から見れば、ほんの小さなことかもしれません」と佐藤さん。ただ、サスティナブルトイを作ることは、親子の意識の変容を促し、そのこと自体に大きな意味がある、と佐藤さんは話します。「サスティナブルトイ」作りに親子で取り組むことでもたらされる「3つのよいこと」について、佐藤さんに聞いていきます。

「手作りサスティナブルトイ」 3つのよいこと

◆1 親子で楽しみながら環境への意識を高めることができる
◆2 「材料」としてパッケージを見る観察眼が育まれる
◆3 「デザインを生かす」という新たなチャレンジを楽しめる

 「よいこと」の最も大きな点は、「意識の変化」だと佐藤さんは言います。「サスティナブルトイとして取り組むにあたり、改めて自分の住む自治体のリサイクル推進課に電話をして問い合わせたところ、自分の意識が大きく変わりました」。知っていると思っていたけれども意外と知らないことがいくつか分かり、行動が変わった、と佐藤さん。