2020年度から小学校で新学習指導要領が導入され、大学入試改革が行われました。新しい教育では、「思考力」「判断力」「表現力」が重要だと知っている人は多いでしょう。しかし、自分たちが学んでこなかった新しい教育を、どのようにしてわが子に身に付けさせていけばいいのか分からないというのが本音かもしれません。では、これらの力はどのように育んでいけばよいのでしょうか? 21世紀型教育を研究している石川一郎さんに、幼児期から高校生にかけての子どもに対する親の寄り添い方について聞きました。

前編 大学入試改革の基礎知識 親世代とはどこが異なる?
中編 大学入試改革 一般選抜での難関私大合格は至難の業に
後編 小学生のうちは「勉強嫌いにさせない」が最も大事に ←今回はココ

知識習得よりも、学びを解決策に生かす力

 2021年1月の大学入試から、センター試験から大学入試共通テストに切り替わり、「思考力」「判断力」「表現力」を測る問題が増えました。これらの3つの力を重視するようになった背景にあるのが、インターネットの存在です。

 新大学入試の傾向について、石川一郎さんはこう解説します。

 「2021年1月の共通テストでは、どの教科も問題文が長めで、2つの文章を比べたり、図や表から情報を読み取ったりするなど、読解力を求める問題が多く出題されました。こうした問題を出す背景には、複数の情報から正しい情報を読み取る力、すなわち今のインターネット社会に必要な力が身に付いているかどうかを判断しようとする意図があります。情報過多社会では、自分の頭で考え、判断することが重要です。それが新しい学習指導要領でいう『思考力』『判断力』です」

 では、これからの小学校の授業はどのように変わっていくのでしょうか?

 「例えば、社会ではキリスト教を日本にもたらしたフランシスコ・ザビエルについて学びますが、従来の小学校のテストでは『フランシスコ・ザビエルが日本に来た目的は何ですか?』といったものが主流でした。しかし、これからは、同じザビエルに関する問題でも『もしあなたがザビエルのように知らない土地に行って、その土地の人々に何かを広めようとする場合、どのようなことをしますか? 600字以内にまとめなさい』といったものに変わっていきます。両者の違いは何かといえば、前者は正解が1つしかないのに対して、後者は人によっていろいろな考えが出てくるということ。そして、最も大きな違いはそこに『問い』が存在するかどうかです」

 「これまでの日本の学校教育は、授業で先生の話を聞いて多くの知識を覚え、宿題やテストなどでその定着度を見るというのが主流でした。こうした学びには、あらかじめ『正解』があり、暗記したり、演習したりを繰り返すことでテストの点数を伸ばすことができました。しかし今は、これらの知識や情報はインターネットで簡単に手に入るため、知識を増やすために努力をする必要はなくなりました。

 それよりも変化が激しく予測困難な時代では、『どのようにしたらより良い暮らしが実現できるか』『どのようにしたら、今のこの困難を乗り切ることができるか』といったアイデアや解決策を考える力が必要とされています。歴史について覚えるだけではなく、これまでの歴史の中で出てきた事象や知識を活用して、今の時代に生かす。『考える』先には、よりよいものが生まれるというイメージです」

次ページから読める内容

  • 問いを持ち続ける人にするための幼少期からの育て方
  • 小学生のうちは「細かいことで叱らない」「勉強嫌いにさせない」
  • 中学生の子どもは自己肯定感を下げないことが重要
  • 高校での「探究」は進路に直結する

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