ウィズコロナの暮らしで、これまでとは異なる状況での人付き合いにストレスを感じることはありませんか? メンタルアップマネージャの大野萌子さんに、仕事でのコミュニケーションのノウハウを聞いた前回に続き、今回は、ストレス耐性を高めるために必要な自分軸の見つけ方や、働く親同士の付き合い方、ストレスの軽減法についてアドバイスをもらいました。

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気持ちを言葉にすることを重ね、自分軸を探す

日経DUAL編集部(以下、――) ストレス耐性を高めるには「自分軸」を持つことが大切ということですが、自分軸とはどのようなものでしょうか。

大野萌子さん(以下、敬称略) 人は物ごとに対して、イライラ、ハラハラ、ワクワクといった感情が湧き上がります。「自分軸」とは感情の根拠になるもの。感情が動いたときに「なぜ、今こんな気持ちなのだろう」と意識してみてください。

 イライラしたときは感情に蓋をして、なかったことにしたくなるかもしれません。でも、イライラの原因を探り、それを言葉にするとモヤモヤした気持ちを可視化でき、自分軸がはっきりします。やりやすい方法で構わないので、寝る前に1日を振り返って日記を書いたり、その場でスマホにメモをしたりするとよいと思います。

 家でイライラしてしまったときは、そのことを家族に話すのもよい方法です。イライラして家族につらく当たりそうになったり、子どもの相手をしたくなくなったりしたら、「ママ(パパ)はこういうことがあって、それに対してこう思ってイライラしている、だから、今はあなたの相手ができないんだよ」と、実況中継のように自分の気持ちを伝えてみましょう。何が自分をイライラさせたかを言葉にすることで状況を客観視でき、「大切にしたいこと」「されたくないこと」といった自分軸が明確になります。子どもも、親がイライラしているのはなぜか理解できるので不安に思わなくなるでしょう。

 これまで自分の気持ちを抑え込んできた人は、ネガティブな気持ちに向き合うのが難しく、最初は思いを把握できないかもしれません。時間にゆとりがあるときに「自分はなぜこうしているのか、なぜこんな気持ちなのか」と振り返ってみましょう。それを続けるうちに、自分の気持ちをしっかりつかめるようになっていきます。

 自分軸という柱が見つかっても、環境が変わったり人から何かを言われたりすると、感情は動くものです。しかし柱があれば基本的なところはグラグラせず、ストレスの感じ方も軽くなります。

 ウィズコロナの今は、さまざまな状況がめまぐるしく変わる時期です。そのような中では自分軸が変化していっても構いません。その時々に合わせ、自分で考えた上で柔軟に更新していくことも、ストレス耐性を高める方法の一つです