蓄積したストレスは今できる気分転換で「強制リセット」

―― ウィズコロナの生活が続き、今、私たちのメンタルはどのような状態なのでしょうか。

大野 新型コロナウイルスがもたらした心理的な影響は、時間とともに変化していく災害時ストレスと似ています。3~4月ごろは被災直後のような必死で生き抜く状況でした。その後、助け合いの意識や仲間意識が生まれ皆で乗り切っていこうとする状況を経て、今は人による価値観の差が生まれ、行動にも違いが出てきています。以前とは違う生活がずっと続き、誰の心にもストレスが蓄積されています

 ストレスは体と直結しています。そのままにしていると、心のひずみが頭痛や肩こりなど体の不調として出てくる可能性があります。子どもや家族に強く当たり、ドメスティックバイオレンスにつながってしまう恐れもあります。そこで意識して取り入れてほしいのが、気持ちの「強制リセット」です

―― 気分転換するにも制約がある状況ですが、どのようにしたらいいでしょうか。

大野 強制リセットのポイントは「何かに集中する・夢中になる時間」を持つことです。反対に「無心になってボーッとする時間」でも構いません。これを1週間に何回か取り入れましょう。一人で散歩に行く、星を見る、ドラマの世界に浸る、ゲームをするなど、今できること、好きなことでいいでしょう。

 料理もおすすめです。料理の工程は「見る・触る・匂いを嗅ぐ・聞く・味わう」という五感のすべてを刺激します。楽しみながら行うことで感情がリセットされ、ストレスも軽減できます。五感の中でも嗅覚は感情と強く結びついているので、忙しいときはフレーバーティーを飲んだり、入浴剤やボディーソープの香りを変えたりするだけでも、気分転換になります。

 ウィズコロナの日々はまだしばらく続きそうです。働くママ・パパは自分のストレス解消を後回しにしがちです。育児や仕事に忙しいかもしれませんが、日常の中に小さな強制リセットを取り入れることで、メンタルヘルスを整えていきましょう。

構成/福本千秋(日経DUAL編集部) イメージ写真/鈴木愛子