新型コロナウイルスをきっかけに人との距離の取り方が大きく変わりました。仕事ではリモートワークが一気に広まり、仕事でのコミュニケーションの方法はメールやチャットなどでの文字や、ウェブ会議の画面越しが多くなっています。これまでとは異なる状況での人付き合いにストレスを感じることはありませんか? そこで、ウィズコロナの生活でスムーズなコミュニケーションを取るためのノウハウをメンタルアップマネージャの大野萌子さんに聞きました。

(上)仕事の連絡は具体的で簡潔に 「察して」の意識変えよう ←今回はココ
(下)ウィズコロナのストレスは小さな強制リセットで軽減

明確さがより大切なリモートワークでのコミュニケーション

日経DUAL編集部(以下、――) リモートワークのオンライン会議では、カメラ越しに顔は見えていても、リアルに接していたときと比べると情報量が少なくなっています。メールやチャットといった文字でのやり取りも増えています。仕事のやり方が大きく変わる中で、スムーズにコミュニケーションを取るにはどんな配慮が必要でしょうか。

大野萌子さん(以下、敬称略) コミュニケーションの意識改革が誰にも必要です。日本人は物ごとをはっきり言うことに抵抗感がある人が多いのですが、気を使ってやんわりと伝えてしまうと、相手が自分の思いと違った取り方をすることもあります。すると伝えた側は「私が気をつかって言ってあげたのに、察しないあなたが悪い」という、攻撃的な思考になりがちです。

 でも、はっきり言わないで分かってもらおうというのはそもそも傲慢なことなのです。分かってもらえなかったことに対して、自分も傷つきます。はっきりと言葉にするほうが相手に親切なのだと意識を変えていきましょう。

 また、あいまいな表現のためにトラブルが起こっているケースも耳にします。

 例えば、上司がオンライン会議で「これを後で処理しておいて」と部下に頼んだとき、上司は「後で」は「ミーティングの直後」と考えているかもしれません。しかし部下は「終業まででいいだろう」と受け取ることもあります。お互い職場にいれば、上司が待っている気配を感じた部下は、仕事を早めたかもしれませんが、リモートではそのようなことは難しいです。結果的に1時間後にやったとしても上司は「遅かったな」と受け止めます。上司の気持ちを知らない部下は「1時間で済ませたのになぜ不満なのだろう」と感じてしまうのです。

 コミュケーションの情報量が少ないリモートワークでは、以前よりも一層具体的で簡潔な表現を心掛けるようにしましょう