「敏感すぎる」のは5人に1人が持つ気質

 敏感なお子さんを持つ親御さんは、「どうしてこんなに引っ込み思案なの?」「こんなに弱くて社会でやっていけるのかしら」などと心配になるかもしれません。

 しかしこうした繊細な人は、人種に関係なくどの社会にも15~20%の割合でいるといわれています。つまり小学校の1クラスが30人だとすると、5~6人はいるという計算になります。

 敏感な子どもの不安へのアプローチは2つあります。1つ目は、「心の支えとなる安心があること」。まずは親御さん自身が、「この子は敏感な特性がある」と認めることが最初の一歩です。たとえ周りの人から「子どもが言うことを真に受けないで」「親が甘やかしているから」などと言われても、親御さんがお子さんを「あなたはそれでいいんだよ」と受け止める。それによって生まれ持った特性が変わるわけではありませんが、お子さん自身が敏感であることをプラスに捉えられるようになれば、親子の不安は和らぎます。

 2つ目は、「具体的手立てがあること」。敏感な子どもは最悪の状況を想定することが多いので、まずはウイルスに対して最大の防御をして、徐々に登校へのハードルを下げていきます。「3密に近づかない」のはもちろんのこと、マスクや消毒など、どうしたら子どもが安心できるのかについて、よく話し合いましょう。免疫力や抵抗力を上げる生活習慣について、親子で話し合うのもいいでしょう。

免疫カ・抵抗力アップを促す生活習慣

・腸内環境を整える……発酵食品で腸内フローラを整える
・早寝早起き、ぐっすり眠る……特に質の良い睡眠は大事
・適度な運動をする……筋肉をつけ、代謝をアップさせる
・質の良い食事……栄養バランスを考えた野菜中心の食事
・お風呂に入る……体を芯からゆっくり温めほぐす
・思いっきり笑う…笑いは百薬の長、ニッコリ笑って過ごす

 「外に出るのが怖い」と言うのであれば、積極的に引きこもるほうがいい場合もあります。まずは子どもの心を安定させることが一番なので、「頑張らないとダメ」「生産的でないとダメ」という考えは、いったん横におきましょう

 ウィズコロナの時代は、敏感なお子さんにとっては、苦労することも多いでしょう。特にきつい言葉や大きな声での叱責は、恐怖心をいっそう大きくするので逆効果です。普段からできるだけ穏やかな声で話すよう心がけ、ポジティブな言葉かけをしてあげましょう。

取材・文/藍原育子(きいろ舎) イメージカット/PIXTA


長沼睦雄
十勝むつみのクリニック院長
長沼睦雄 日本では数少ないHSP/HSCの臨床医。北海道立札幌療育センターにて小児精神科医として14年間勤務。2000年よりHSP/HSCに注目して研究。16年に十勝むつみのクリニック開業。神経発達症や発達性トラウマなどの診断治療に専念し、脳と心と体の統合医療を行っている。著書に『敏感すぎる自分を好きになれる本』(青春出版社)、『子どもの敏感さに困ったら読む本』(誠文堂新光社)など。