思いやりや共感力・直感力に優れ、細かい気配りができる

 HSCは病気や障害ではなく、「生まれ持った気質」です。例えば足が速い、手先が器用、計算が苦手、人とすぐに打ち解ける、など人それぞれ持って生まれた特徴がありますよね。それらは本人が望んで得たものでなく、持って生まれたものです。特別に敏感で繊細であるというのも、もともとその子どもに備わっているものなのです。

 敏感で繊細な子どもは、大人がイメージするいわゆる子どもらしさ(天真爛漫〔らんまん〕、誰とでもすぐに仲良くなる、にぎやかな場所が好き、など)には当てはまらない場合が多いので、親御さんが「私の育て方に問題があるのでは」と悩んだり、子どもに対して「何をわがままなことを言ってるんだ」「細かいことを言わないの」などと追い詰めてしまったりすることも少なくありません。また学校や世間から「少し変わった子ども」というレッテルを貼られてしまうこともあります。

 相手への共感力が非常に高いので、たとえ自分がいじめられても「相手は悪くない。相手を不快な気分にさせてしまった自分が悪いのだ」と考えます。「ひどいことをされているのになぜ嫌だと言えないの?」と思うかもしれませんが、親御さんはぜひそこをくみ取って、「相手のことを大事にできるのは偉い。しかしその前にまずは自分を大事にしよう」と教えてあげてください。自尊感情を育むことが得意ではないので、このような親御さんのサポートが必要です。

 そして、敏感ということは、決してマイナス面ばかりではありません。共感力が高いので、人の痛みがよく分かります。その場の空気を的確に読み取る力にたけているので、思いやりや共感力・直感力に優れ、人に対して細かい気配りができます

敏感な子どもを癒やす「7つの言葉」

 コロナ禍において、敏感なHSCの子どもたちは、より困難な状況に置かれています。想像力がたくましいので、ニュースを聞くたびにさまざまな悪い想像が広がります。親としては「そこまで怖がることないじゃない」と思うようなことでも、HSCの子どもには、そう思えません。思いたくても思えないのです。

 敏感なお子さんは、「コロナでみんな死んじゃうの?」「もう地球はダメなんだね」「外に出たら感染するんでしょう?」などと、親からすれば極端と思われることを口にするかもしれません。

 そんなときに「どうしてそんなこと言うの」と叱ったり、「怖がりね」と笑ったりすると、お子さんの心は傷つきます。もし学校や友人から奇異な目で見られたときは、全力でお子さんの味方になってあげてください。お子さんは、親御さんに心配をかけようとしてやっているわけではないのです。そんなときには、このような言葉を積極的にかけてあげてください。

1.共感……「つらいんだね」
2.愛着……「そのままでいいよ」
3.慰労……「よくがんばってきたね」
4.感謝……「ありがとう」
5.同意……「そうなんだ」
6.安心……「だいじょうぶ」
7.尊敬……「きみって、すごい」