学校生活は再開されましたが、楽しみにしていた学校行事の中止が次々と決まるなど、先が見えづらい状態が続いています。高学年だと勉強の遅れを取り戻さなくては、中学受験への影響は…と、焦ってしまうこともあるでしょう。国立成育医療研究センターこころの診療部 田中恭子さんに3回にわたって話を聞きました。今回は高学年の心のケア・前編です。

(1) 休校明けの低学年「見えない疲れ」に注意して
(2) 学校行事中止、受験への焦り…子の気持ちどう支える←今回はココ
(3) 登校再開で親子の距離も変化? 高学年の心の支え方

共感によって安心し、心が穏やかに

 学校は再開されましたが、夏休みが短縮となり、遠足や運動会が中止になる学校もあります。特に6年生にとっては、小学校生活で最後のイベントや楽しみにしていたことが続々と中止になり、落ち込んでいる子もいるかもしれません。そうした子どもの「がっかりした気持ち」を親はどのようにケアすればいいのでしょうか。

イベント中止でがっかりした気持ち、どう受け止める?画像はイメージ
イベント中止でがっかりした気持ち、どう受け止める?画像はイメージ

 「自分にとって大切なことや結びつきを失うことを心理学の用語で『対象喪失』といいます。学校の行事もスポーツの大会も、オリンピック・パラリンピックも、本当だったらその年のそのときにしかできない経験や体験が、目の前で失われるのを見るのは、大人でもつらいものです。

 こうしたときに有効なのは、なんといっても共感することです。『楽しみにしていたものね、悔しいよね』『ずっと準備していたものね。なくなるのは寂しいよね』など、まずはお子さんの気持ちに寄り添ってあげてください。そしてたっぷり共感してあげた後で、『もしかしたら状況は変わるかもしれないし、ここは辛抱しようね』『そう感じているのはあなた一人じゃないよ』と励ましてください。共感することで、子どもの心は『親が気持ちを分かってくれている』『私はここにいていいんだ』という安心感に包まれます」

 高学年の子は、常に保護者がべったりと側にいるのではなく、「ある程度1人になれる時間を与えることも必要です」と田中さん。しかし子どもに次のような様子が見られたときは、注意が必要だと言います。