高学年、こんな様子が見られたら注意
2.いつもより集中できず気が散ってイライラする
3.人や自分を傷つけたり、物を壊したりする
「これらは頑張り過ぎているサインです。もしもこのような状態が長引くときは、学校のほか地域の精神保健窓口や保健センター、病院などに相談してください」と、田中さんはアドバイスします。
叱咤激励するよりも見守る力を
中学受験を控えた小学6年生は、例年とは違う中学受験に不安や焦りを感じます。メンタル面ではどう向き合えばいいのでしょうか。
「まず親御さんは、『一番不安を感じているのはお子さん自身である』ことを理解してください。自分の将来はどうなるのか? 頑張ってきた努力が水の泡になるのではないか? とお子さんが誰よりも不安と焦りを感じているのです。親御さんの焦る気持ちも分からないわけではありませんが、ここでもまずは共感してあげてください。不安な気持ちに追い打ちをかけるように『もっと勉強しなさい』『受験に間に合わないよ』と言うのは、逆効果です。
車だってエンジンをかけた直後に全速力では走りませんよね。登校が始まり、塾や習い事がスタートした今は、通常の生活を取り戻すだけで十分です。まだエンジンを暖めている時期です。子どもたちは、これからまた忙しくなりますから、今はお子さんを温かく見守ってほしいと思います。叱咤(しった)激励するのではなく、親御さんはお子さんの生活のペースが元に戻るように、心のバランスが崩れないようにと気を配ってあげてください」
休校中の教育格差をつい気にしてしまうという人もいるでしょう。
「休校していた3カ月は、失われた時間ではありません。親御さんから見たらだらけているように見えたかもしれませんが、お子さんも未曽有の危機の中に一緒に新型コロナウイルス感染症と戦ってきた仲間なのです。
ですから親御さんにもお子さんにも、もっとそれを乗り越えた自信を持ってほしいと思います。これから第2波が来るかもしれないし、また深刻な状況が訪れるかもしれません。しかし知恵と工夫で、私たちは一度困難を乗り越えました。これはこの先お子さんが生きていく上での大きな糧となります。そこを強調して教えてあげてください。
そして親御さんも自分自身を褒めて、認めてあげてください。私すごい! あなたもすごい! と褒め合う。これで家族みんながハッピーになれます(笑)。今は『〇〇すべきだ』ということに縛られず、家族ができるだけニコニコと過ごせる時間を作ることに気を配ってください」
取材・文/藍原育子(きいろ舎) 写真/鈴木愛子