長引いた休校が明け、子どもたちは久しぶりの学校生活を満喫しながらも課題や塾通いなどで、忙しい日々がスタートしています。この時期、小学生の心はどのような状態にあるのでしょうか。国立成育医療研究センターこころの診療部 田中恭子さんに3回にわたって話を聞きました。今回は高学年の心のケアの後編です。

(1) 休校明けの低学年「見えない疲れ」に注意して
(2) 学校行事中止、受験への焦り…子の気持ちどう支える
(3) 登校再開で親子の距離も変化? 高学年の心の支え方←今回はココ

外出自粛の反動で「親から離れたい」子も

 久しぶりに学校が再開した今の時期、最も大切なのは「子どもの心を安定させること」です。

 「個人差はありますが、高学年になると第2次性徴が始まる子も現れ、それに伴ってホルモンバランスが乱れます。ホルモン分泌の中枢である脳の視床下部は自律神経の司令塔でもあるので、ホルモンバランスが乱れると、自律神経のバランスも崩れやすくなります。自律神経がバランスを崩すと、心や体に次のようなさまざまな症状や不調が表れます」と田中さんは話します。

●高学年、こんなことありませんか?

食欲がいつもと違う(大幅に増えたり減ったりする)
眠れない
疲れやすい
立ちくらみがする
頭痛や腹痛
やる気が起きない
落ち着きがない
感情の起伏が激しい
派手な行動をとる
もう何もかもダメだ、など過度に悲観的になる
怒りを爆発させる
友人と過度に一緒にいたがる
自分や他人を傷つけるような行為をする

 「これらのうちのいくつかは、自律神経のバランスが崩れることと関係します。高学年は『親から離れて自立したい気持ち』と『親に依存したい気持ち』の間で大きく揺れ動く時期。普段は学校があるので親子の距離はある程度保たれていますが、休校中はその距離がぐんと近くなりました。その反動から、今は必要以上に友人と一緒にいたがったり、またため込んだイライラやストレスを怒りとして爆発させたりする可能性があります

 具体的には、どのような点に気を配ればいいのでしょうか。次のページから見ていきましょう。

揺れ動く高学年の心のサポートは。画像はイメージ
揺れ動く高学年の心のサポートは。画像はイメージ