コロナについて子どもにも意見を聞いてみる

 新型コロナウイルスへの不安からいじめや差別が増えるのではないか、という不安もあります。子どもたちをどのように守ればいいのでしょうか。

 「新型コロナウイルスは現在のところワクチンも治療薬もなく、世界中の人がいまだ手探りの状態で生活を続けています。こうした環境下では誤った知識や情報を基に、特定の人をラベリングする『スティグマ』の状態になりやすく、差別やいじめが起こりやすい状態にあるといえます。例えば、○○さんのパパはお医者さん→○○さんは新型コロナウイルスを持っている(かもしれない)→○○さんと一緒に遊ばない、仲間に入れない、といったような考えに陥るのがスティグマです。

 親である私たち大人も誤った知識により、スティグマを広げている場合があります。まずは自分の得ている情報は本当に正しいものか、誰かの偏見や意思によってねじまげられたものではないか、よく考えてみましょう。その上で子どもと話し合います。例えば自分が対象にされたらどう思う? どう感じる? それって正しいことかな? と子どもに問いかけてみましょう。

 今は親自身も未知のウイルスとの共存に、手探りの状態です。新型コロナウイルスについて『これってどう思う?』『この先どうなるのかな?』とぜひ高学年のお子さんには意見を聞いてみてください。高学年の子どもは『自分の意見を聞いてもらえた』と思い、親御さんは『こんな意見があったのか!』と新たな発見があります。見守ることを意識した低学年とは少し違い、高学年の子を持つ親御さんは、親子のコミュニケーションを深めながらウィズコロナの時代を乗り切ってみてはいかがでしょうか」

取材・文/藍原育子(きいろ舎) 写真/鈴木愛子


田中恭子
田中恭子 子どもの不安や抑うつ状態、言語や認知、社会性などの発達のアセスメントとその支援などを医師や心理士、保育士などのチームで行う国立成育医療研究センターこころの診療部 児童・思春期リエゾン診療科で診療部長を務める。現在は、新型コロナウイルス感染症による保護者のストレスや不安、生活環境の変化、それに伴う心身の健康状態などについて、問題の早期発見や予防・対策法について広く発信している。